KDDIなど6社の出資により設立されたワイヤレスブロードバンド企画が、モバイルWiMAXサービスの展開に向け本格的に始動した。2月28日に約160億円を増資し、3月1日には社名をUQコミュニケーションズに変更。2009年夏の商用サービス開始を目指す。
増資の総額は161億5000万円で、既存株主であるKDDI、インテル キャピタル、東日本旅客鉄道、京セラ、大和證券グループ、三菱東京UFJ銀行の6社が引き受けた。増資後の出資比率は増資前と変わらず、KDDIが32.26%を持つ筆頭株主となっている。
新社名のUQコミュニケーションズの「U」には普遍的(Universal)、ユビキタス(Ubiquitous)、「Q」には高品質(Quality)、大容量(Quantities)、高速(Quickness)の意味を込めているという。
また、サービス開始に向け、機器ベンダーを選定したことも明らかにした。屋外基地局は富士通とサムスン電子から、屋内基地局はサムスン電子から調達する。また、基地局を制御するアクセス・サービス・ネットワーク・ゲートウェイ(ASN-GW)は日立製作所から、ネットワークの中核にあたるコアサービスネットワーク(CSN)装置はCTCから調達する。
なお、利用者向けの端末については現在調整中といい、「PCに接続して使うタイプと、PC内に組み込むエンベッド型の2つがある。後者については、インテルと共同でプロモーションしていく」(UQコミュニケーションズ代表取締役社長の田中孝司氏)と述べるにとどめた。
今後の展開については、まず2009年2月に東京23区、横浜市などで試験サービスを開始。その後2009年夏をめどに商用化し、エリアを名古屋、大阪に拡大する。2010年3月末までには政令指定都市全体へエリアを広げ、2011年3月末までに全国の主要都市をカバーする計画だ。2008年度の設備投資計画は1500億円程度といい、「できるだけ早く多めに基地局を建設していきたい」(田中氏)と意気込む。
これに先立ち、UQコミュニケーションズの通信回線を利用してサービスを提供したい企業(MVNO)向けの説明会を3月21日に行う。「(現在すでに携帯電話事業を提供しているKDDIグループ以外の)他社にも、我々はフェアかつオープンにサービスを提供する。MVNOがモバイルWiMAXの可能性を広げてくれると考えている」と田中氏は話し、広くパートナーを求めていく考えを示した。
サービスの提供価格については、総務省への免許申請時に月額平均3200円程度を見込んでいると発表したことを挙げ、「具体的な価格はサービス提供の直前に明らかにする。ただし、(前述の価格と)大きく変わるものにはならないだろう」(田中氏)とした。
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