総務省の要請により、未成年は有害フィルタリングサービスに原則加入することとなり、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やブログといったサービスを携帯電話から利用できなくなる。このことは、モバイルSNS最大手の「モバゲータウン」や運営元のディー・エヌ・エーにどのような影響を与えるのだろうか。1月30日に開催されたディー・エヌ・エーの2008年第3四半期決算説明会において、代表取締役社長の南場智子氏がデータを元に説明した。
南場氏によると、モバゲータウンの会員数は2007年11月に800万人を突破。この時点における年齢構成比は、10代が44%、20代が38%、30代以上が18%となっている。携帯電話事業者がフィルタリングの原則加入対象とする18歳未満のユーザーに絞ると、割合は全体の29%と決して多くはない。
また、モバゲータウンの売り上げは、大きく(1)広告掲載・キャンペーン企画、(2)成果報酬型広告、(3)アバター販売の3種類に分けられる。このうち、18歳未満のユーザーが占める割合は(2)が34%、(3)が17%(1はユーザー別の割合が出せないため非公開)。グラフにすると、売り上げに占める18歳未満のユーザーは小さいと言える。
また、18歳未満のユーザーについては、同世代でコミュニケーションする傾向が強く、「ほかの世代に波及的ダメージがあるかといえばそうでもない」との見解を示した。
モバゲータウン以外の事業における影響については、「ECは18歳以上の利用者が中心のため、影響はあまりない」。アフィリエイト広告のポケットアフィリエイトについては、「市場でトップシェアを持つサービスのため、モバイル業界が縮小すればそれに伴って影響を受けるだろう。ただし、公式サイト運営者が最大の広告主なので、公式サイトのトラフィックが増えればプラス要因にもなりうる」とした。
ディー・エヌ・エーではモバゲータウンの監視を強化し、フィルタリングの対象外となるように関係各位に働きかけていく。監視人員を300人に強化するとともに、ベイジアンフィルタの導入などにより監視システムを強化する。「昨年に比べて3〜4億円の費用増となっている」といい、2008年第3四半期にかかったモバゲータウンのサイトパトロール費用は1億円を超えるとのことだ。
また、サービスによってはドメインを変えることで、フィルタリングの対象外とする考えもある。現在はモバゲータウンのサービスがすべてhttp://mbga.jp以下のディレクトリにあり、一律フィルタがかかってしまう。コミュニケーション機能を持たないサービスについてはドメインを変えることでフィルタの範囲外とし、誰でも見られるようにする考えだ。「サイトの構造を変えることで、SNSと分類される部分を狭めるという動きには当然着手している」
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