前回、欧州のPND市場における欧州大手TomTom(オランダ)と米国大手Garmin(ケイマン諸島)の動きを紹介したが、もう少し大きな流れからPND市場を見ると、携帯端末--特に携帯電話--との統合というトレンドがある。
携帯電話最大手のNokia(フィンランド)の動きを紹介すると、同社は2006年秋に地図情報サービスの独gate5を買収、以来、GPS周りを急速に固めている。
Nokiaは現在、gate5の地図情報アプリ「smart2go」を無料で提供している。このほかにも、GPS技術のライセンスに続き、A-GPSサービスも開始、使い勝手を少しずつ改善している。端末側では、「Nokia N95」「Nokia 6110 Navigator」などのGPS内蔵携帯電話だけでなく、カーナビ「Nokia 330 Auto Navigation」も発表、今後この分野をさらに強化すると思われる。実際、昨年秋に行った自社イベントで、Nokiaの担当者はGPSを、「カメラ、音楽に次ぐアプリケーション」と述べている。
携帯電話にカメラが搭載されるようになってからデジカメ市場は変わり、いまでは携帯電話メーカーのNokiaが最大のデジカメ端末メーカーとなった。音楽再生プレイヤーをつけた音楽ケータイのトレンドを受け、MP3プレイヤーなど単機能音楽端末の市場は縮小している。NokiaがGPSに本腰を入れることで、PND市場も影響を受けるだろう。TomTomはこれまで、ソフトウェアやメモリーカードの形で携帯電話/PDAに対応していたが、Nokiaの動きによりTomTomなど専業メーカーのテリトリは縮小を余儀なくされそうだ。
前回取り上げたTomTomによる地図データ企業TeleAtlas(オランダ)買収は、変動が予期されているPND市場でTomTomが大きな賭けに打ってでたといえる。
地図データ企業について触れておくと、この市場はTeleAtlasと米Navteqの2強状態で、TeleAtlasがTomTomの傘下に入ることが正式に決まった場合、Navteqの動きが注目される。TeleAtlasは独立性を強調しているが、これまで2社から地図情報を得ていたGarminや台湾Mio TechnologyなどのライバルはNavteq一本になるかもしれないし、新しい買収が起こるかもしれない。
欧州では、欧州連合(EU)が欧州宇宙機関(ESA)と進めている衛星無線航法プロジェクト「Galileo」の運行が2012年までにスタートする予定で、これに合わせて今後、GPS市場がさらに変化することが予想される。
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