ほかにも、IPを電話会社が所有する既存ネットワークと結びつけてサービスを提供する企業が、複数現れてきている。Janglという会社では、携帯電話や固定電話からの低コストVoIP通話を提供している。匿名通話が可能になるこのサービスは、ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)利用者向けに開発されたものである。電話番号を電子メールアドレスやユーザー名と結びつけ、名前をクリックするだけで通話を開始できる。この技術はマッチングサービスである「Match.com」ですでに利用されている。
JajahやJanglは、機器の追加購入やソフトウェアのダウンロードなしで低価格な国際通話を実現している。しかしStofega氏によると、低価格な国際通話がキラーアプリケーションになることはあり得ないのだという。その代わりVoIP企業は、自社のソフトウェアをより広範に利用して、電話以外の通信ネットワークへの接続に使用される必要があるだろう。
Stofega氏は「Vonageの誤りは、電話の代替サービスになることに捕われすぎた点にある。そのせいで、「E-911」 (緊急通報対応) などの要求でつまずき、ここ2年から3年の間は真に革新的なことをしていない」と述べた。
同氏は、次世代のVoIP企業において本当に価値を持つのは、デスクトップアプリケーションやモバイル機器に組み込み可能なソフトウェアなのだと付け加えた。同氏は、現在必要なのは、機器やデスクトップに組み込み可能なユニーバーサルコミュニケーションクライアントで、電話、インスタントメッセージング、電子メールなどを機能的に統合し、全プラットフォームを単独のクライアントでサポートすることだと説明した。実際の機器に盛り込まれる技術は、どの機器を利用しているときでも、どこに通知を出せばユーザーに伝わるのかを判断できるくらい、賢いものになるかもしれない。
JajahがIntel Capitalと戦略パートナーシップを結んだことは、この方向へのステップであるように見える。IntelはJajahが最近行った資金調達ラウンドでの出資も行っている。VoIPソフトウェアをチップに組み込むことで、あらゆるコンシューマーエレクトロニクス機器をインテリジェントなコミュニケーションネットワークに繋ぐことが可能になるかもしれない。
Healy氏は、「通話を低コストにすることは応用の1つにすぎない。コミュニケーションネットワークを相互に接続するため、プラットフォームを越えてわれわれのソフトウェアを組み込むことが、われわれの描いているより大きな構想だ」と語る。
しかし、VoIPの新しい応用方法を考え出しているのは新興企業に限ったことではない。GoogleやYahooもまた、音声による検索など、音声を使った多くの作業に取り組んでいる。Stofega氏は、こうした取り組みが、全体として数々の新しい応用方法を切り開く可能性があると考えている。例えば、アバターに代理人を任せ、歯医者の予約を入れたりといった作業を代わりにさせることが可能になるかもしれない。
Deutsche Telekomが、次世代のVoIP企業に価値を認めていることは明白である一方で、米国の電話会社はそれほど受容的ではないかもしれない。VerizonやAT&Tはそれぞれ独自のVoIPサービスを提供しているが、そのサービスに対してあまり多くの費用を費やしたり、マーケティング活動を実施したりしていない。
「これまでを見ても、電話会社は自分たちのネットワークを解放することを好まない。現在、彼らはケーブル企業と競争し、自分たちの固定回線を失っている。新しい応用方法ということになれば、それらを自分たちで開発して、所有したいことだろう」(Stofega氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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