8月、ミクシィがソーシャルアプリプラットフォームの「mixiアプリ」をPC版を正式公開したことで、日本でもソーシャルアプリがにわかに注目を集めるようになった。mixiはその後10月にモバイル版も公開。ライバルのディー・エヌ・エー(DeNA)もすでにアプリ開発者の募集を開始しており、2010年1月に最初のアプリがモバゲータウン上に登場する予定だ。また、業界最大手のFacebookも日本法人を設立する計画となっている。
各社のプラットフォームはそれぞれどのような特徴があり、どんな可能性があるのか。11月25日に開催されたモバイルコンテンツに関するイベント「MCFモバイルコンファレンス 2009(mobidec2009)」では、ミクシィとDeNAの担当者、およびFacebook向けアプリを開発しているブレークスルーパートナーズの3者が講演した。
まず国内で先行するミクシィは、ここ3年モバイルに押されて減少傾向が続いていたPCサイトのアクセスが、mixiアプリの投入によって急増したという。ネットレイティングスの調査によれば、10月のサイト滞在時間は8月に比べて約2倍になったとのこと。10月の月間ページビュー数はPCサイトが55億PV、モバイルサイトが122億PVで、合計177億PVとなった。
また、PC版のユニークユーザーも10月に過去最高を記録。「PC版mixiは第2の成長ステージに入った」とミクシィ 取締役 mixi事業本部長の原田明典氏は胸を張る。mixiアプリの登録利用者数も開始から2カ月で1500万件を突破。モバイル版開始後はさらに伸びが加速し、3500万件に達しているという。
現在mixiアプリで最も人気なのが、「サンシャイン牧場」という牧場育成ゲーム。利用者は11月25日時点で315万人となっており、うち8割が1週間に1度はアクセスするアクティブユーザーだ。
アプリごとのページビューについては非公開だが、原田氏によるとウノウの「まちつく!mixi版」、ライブウェアの「牧場物語 for mixi」、空飛ぶの「マイミク通信簿」などは月間数億のページビューがあるとした。
人気アプリに見られる要素としては、1分で何をすべきかが理解できる「わかりやすさ」、マイミクと一緒にプレイしている感覚が味わえる「ソーシャル性」、ユーザーを飽きさせない「継続性」、友人を招待させる「巻き込み性」が挙げられるとのこと。逆に既存のゲームで重視されていたシナリオや物語性は「ないほうがいい。コミュニケーション中心のほうがヒットする」(原田氏)と断言した。
Facebookで人気のアプリを分析しても、同じことが言えると原田氏はいう。Facebookアプリではまずポーカーなどのカジュアルゲームが人気となり、続いて米Zyngaの「Mafia Wars」のように、友人の多さがそのままゲームでの強さにつながるようなものが人気となった。しかし最近では、同じくZyngaの農場育成アプリ「FarmVille」のように、ユーザー同士が協力して遊ぶものがヒットしている。このため、ミクシィではソーシャルアプリをあえてゲームだけに限定せず、さまざまな種類のものを受け入れているのだという。
「mixiはリアルの友人関係を中心にしており、『コミュニケーションとしてのアプリ』という考え方が前提にある。誰とやりとりするかが重要であり、『ソーシャルエモーション(社会的感情)』をいかに設計するかが鍵になる」(原田氏)
アプリ開発者に対しては、広告プログラムや課金プログラム「mixiペイメントプログラム」のほか、コンサルティングの提供、マーケティンやシステム運用の支援などをしていくとした。なお、mixiペイメントプログラム決済手数料10%を引いた額の80%をアプリ開発者に支払う仕組みとなっている。
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