ある報道によれば、Appleは、「iMac」および「MacBook」の値下げの準備を整えているという。
AppleInsiderが伝えたところでは、Appleは今後数カ月以内に、よく売れているiMacとMacBookへ、さらなる低価格モデルを追加する計画であるという。Appleが、どれほどの値下げを断行するつもりなのか、または、現行価格のまま、どれほど製品価値をアップさせるつもりなのかまでは明らかにされていないものの、同報道によると、どうやらAppleは、この1年ほどで一斉に普及してきた安価なネットブックへの進出は見送りたいと考えているようである。
Microsoftが、不況の折に出費するには、Macは高すぎるアクセサリであるとの概念を強力に印象づけるべく、攻撃的な戦略を展開してきたため、ここ数カ月間は、Macの価格設定が大きな話題に上っている。Appleは、一連のMicrosoftのキャンペーン広告に対して、Macの性能は、Windowsを搭載するPCよりも高く、それゆえにWindows PCは、Macよりも大いにお徳感があるというわけではないとのメッセージを基本に、応戦する姿勢を取ってきた。
とはいえ、今回伝えられている値下げが本当に発表されるならば、Macをプレミアム製品に位置づけるAppleの戦略にも、変化が訪れることになるだろう。Appleは、2008年10月のユニボディのMacBook発売に合わせて、旧モデルのMacBookを999ドルにするなど、確かに値下げを行ってきた。また、同社は、これまでハイエンドのMacノートシリーズ向けにのみ提供されてきた特定の機能のコスト低下へと踏み切り、実質的な値下げ効果を、ある程度だが達成してきた。
とはいえ、それ以来、事態は変化してきた。AsusやAcerなどのPCベンダーが、安価なネットブック人気の影響で、PC総出荷台数を伸ばしてきたのに対し、Appleは、同社の2009会計年度第2四半期中に、ここ数年間で初めてのこととして、前年同期比でMacの出荷台数を落としてしまった。
もし今回の値下げが、ネットブックの人気現象への反応であるならば、筆者は、それは間違いであると考える。ネットブックは、安価で基本的なコンピューティングエクスペリエンスを提供する製品であるものの、長期的な観点での標準サイズのノートPCへの代替製品になり得るどうかに関しては、疑問点も多いからだ。
IDCは、2008年中に1100万台のネットブックが販売され、2009年には、世界のPC市場全体が約3億台規模に上る中、ネットブックの販売台数は2100万台を占めるとの予測を出している。もし、単に価格が安いとの理由でネットブックが購入されているのであれば、いずれにせよ、こうした購入者層がMacの購入へと至ることは、おそらくないだろう。もし、コンパクトサイズのコンピューティングエクスペリエンスが求められているゆえに、ネットブックの購入に至っているのであれば、これもまた、同じ購入者層がMacを購入することなどなさそうである。
AppleInsiderは、Appleが、バーゲン販売価格での大幅値下げに踏み切る可能性は低いと、控え目に伝えている。計画されている値下げは、もっと小規模なものとなりそうである。Appleの粗利益は、PC業界でもうらやまれるものであり、PC業界で、一度値下げが行われるならば、再び値上げして元の価格に戻すことなど、ほぼ不可能である点を考慮に入れるならば、これは良い判断であるといえる。
おそらくAppleは、今四半期中は教育機関からの需要が高まり、来四半期は、新学年が目前に迫るゆえの需要増が見込まれるため、キャンペーン価格にて、1年のうちでも非常に重要なMacの販売期間を盛り上げようとしているのであろう。期間限定のプロモーション販売が行われるならば、より低価格で小型のミニタブレット型Macの発売を求めるような風潮の中でも、ある程度はAppleの売り上げを伸ばしつつ、より消費者の購入意欲が高まる時まで、Macの製品ラインのマージンをキープすることが可能になるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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