「Google Maps」の「Street View」は見境なくプライバシーを侵害しているとして、ピッツバーグに住む夫婦がGoogleを相手取って起こした訴訟は、同夫婦の敗訴に終わった。
AaronとChristine Boring夫妻は、インターネット検索大手のGoogleのStreet Viewのカメラが「私道」と記された標識よりも先に進み、彼らの自宅を撮影したことで、「(原告の)プライバシーが著しく無視された」として2008年4月に同社を訴えていた。この夫婦は、5つの訴因からなる今回の訴訟において、GoogleのStreet Viewにおいて自宅がはっきりと写っていることに気付いたことで「精神的な苦痛」を被ったうえに、自宅の不動産価値が低下したと主張していた。彼らは2万5000ドル以上の損害賠償金の支払いと、自宅の画像をStreet Viewから削除したうえで破棄することを求めていた。
しかし、ペンシルベニア州西部地区連邦地方裁判所はこの訴訟の正当性を認めず、米国時間2月17日に、Boring夫妻が「いずれの訴因に関しても主張を確立できなかった」として訴えを棄却した(PDFファイル)。
皮肉なことに、Boring夫妻はこの訴訟を起こしたことで、訴状に記載されている自宅住所から、より世間の注目を集めることになった。また、アレゲーニー郡の資産評価担当局のサイトには、同夫妻の自宅の写真が掲載されている。
Google Mapsのこの機能に対して憤慨しているのはBoring夫妻だけではない。2008年にも、カリフォルニア州フンボルト郡の住民らも、写真を撮影するために雇われたドライバーが、私有地の標識を無視して私道に車を乗り入れたと不満の声を上げているという報道があった。また2009年1月には、ミネソタ州セントポール近くにあるプライベートなコミュニティーも、その道路や家がStreet Viewに掲載されたことを不服として、Googleに対して画像の削除を申し入れていた。なお、Googleはこの申し出に従って画像の削除を済ませている。
しかしGoogleは、衛星写真や航空写真が存在する現代において、この種のプライバシーはもはや存在していないということを根拠として、私道からの写真撮影も法的に許されるはずだと主張している。
GoogleはBoring夫妻の訴えに対して、「今日における衛星写真テクノロジの存在からすると、完璧なプライバシーというものは存在していない」と述べている。
2007年5月に米国でこの機能の提供が開始されて間もなく、プライバシー擁護者らはGoogleが人々の顔や、車のナンバープレートの写っている写真を掲載することに対して批判の声を上げ始めた。その後Googleは2008年5月に、同サービスにおいて、顔をぼかすテクノロジを試験的に導入し始めたことを発表している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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