大きな話題となったにもかかわらず、ほとんどの企業のIT部門は、このほどGoogleがリリースしたウェブブラウザ「Chrome」のテストには、まだ踏み切っていないようである。
Silicon.comが最近、最高情報責任者(CIO)を対象に実施した「CIO Jury」調査において、社内のIT部門が、依然としてChromeをテストしていないと回答したCIOは、12人中で10人にも上っており、まだChromeに慎重な姿勢を取っていることが明らかになっている。
「まだテストしていない」と答えたCIOの多くは、その理由として、社内のITインフラが、Internet Explorer(IE)をデフォルトのブラウザに指定して構築されている点を挙げている。Googleは、9月初旬にChromeを発表した。
Key Equipment Financeの欧州IT部門ディレクターであるNic Evans氏は、「非常に多くのビジネスアプリケーションが、IEのみに正式に対応しているため、すぐさま他の選択肢を検討するのは困難である」と述べた。
しかしながら、ある回答者は、Chromeの出現によって、Microsoftが、ブラウザ市場での競争を強いられるようになることへの期待を表明した。
さらに、法律事務所のClarke WillmottでITディレクターを務めるIain Hepburn氏は、「Microsoft Office SharePoint Serverや、他の多岐に渡るMicrosoft製アプリケーションおよび開発ツールを使用しているため、われわれは、ある意味でMicrosoftワールドに居住しており、全機能を活用するためにも、IEを用いざるを得ない。ただ、われわれは興味深く状況を見守っており、Microsoftを含む全プレーヤーが、競争を加速させることは、消費者に恩恵をもたらすことになると考えている。われわれは、『IE8』のリリースによって、何が実現することになるのかを期待している」と語った。
公共部門においては、IT責任者が、中央政府機関のセキュリティを確保する上でも主導的な役割を担うことが求められるため、Chromeが実用化されるのは、現実離れした話かもしれない。
British Transport PoliceのCIOであるAndrew Watson氏は、「われわれはChromeをテストしたりしていない。なぜなら、インターネットには潜在的なセキュリティ上のリスクが潜んでおり、英国政府通信司令部(GCHQ)に所属し、情報保証サービスを行う通信電子セキュリティグループ(CESG)において、安全な政府機関の環境下で、Chromeの利用を進めることが適切であるかどうかの判断をしかねるところもあるからだ」と述べている。
しかしながら、ChromeをテストしたCIOの中には、その性能に賞賛を送ったCIOも少なくない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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