ソーシャルネットワーキング(SNS)サイトを利用するアクティブユーザーの数は、2007年末までに2億3000万人に達し、少なくとも2009年までは新規ユーザーを獲得し続けるだろうとする分析レポートが出た。しかし、投資家たちはいまだに慎重な姿勢を崩していない。長期にわたって成長が続くかどうかがまったく明らかでない以上、それも無理からぬことだ。
英国の市場調査会社Datamonitorが発表した「The future of social networking: Understanding market strategic and technological developments(ソーシャルネットワーキングの将来:市場戦略と技術の発展を探る)」と題するレポートでは、FacebookなどのSNSを有名にした文化的現象に参加する人々の増加率は、2009年までにピークに達し、2012年までには停滞するようになると予測している。
同レポートは、SNSサービスの2007年の売り上げは9億6500万ドルで、2012年までには24億ドルに達すると見ている。
SNS会員数の伸び率は地域によって大きく異なるという。レポートでは2007年末時点における世界中でのSNS利用者の地域別分布状況を、アジア太平洋地域が35%で最大、以下ヨーロッパ中近東地域(28%)、北米地域(25%)、カリブ海ラテンアメリカ地域(12%)が続くと予測している。
しかし、SNSをめぐる現在の熱狂と興奮をドットコムバブルの時期にたとえる一方で、Datamonitorは不安材料の存在も指摘し、投資家はジレンマに陥っていると述べている。「新たなGoogleやYahoo」を取り逃がしたくはないが、さりとて長期にわたる検証を経ていないウェブ上の現象をどこまでも信じる気にもなれないというわけだ。
だからこそ、多くのSNSサイトは新規株公開を先延ばしにするのが賢明だ、とレポートは述べている。
先ごろ米国で開催された「Web 2.0 Summit」の席上で、Facebookの創立者で最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏は同社の新規株公開について、「何年も」先の話だと述べた。Facebookは、まさに現時点におけるSNSの頂点であり、同氏は2007年の「Agenda Setters」でIT業界で最も影響力のある人物に選定された。
レポートを執筆したDatamonitorの技術担当アナリストRi Pierce-Grove氏は、声明の中で次のように述べている。「オンラインSNSの驚くべき成長は、真の技術革新によってもたらされたものであり、われわれのコミュニケーション方法を大きく変えつつある。しかし、資金の獲得が容易で、メディアの注目や創造力を刺激してくれるユーザーの好奇心もすぐに集められるという現在のぬるま湯的状況は、いつまでも続くものではない」
Pierce-Grove氏はまた、SNS市場の参加者は「この市場が経験することになる過熱状況とその後の冷え込みを生き延びるために、二股をかけた戦略を」立てなければならないとも述べている。
Datamonitorは、SNSが成長を続けている現状について、企業にとってそのようなサイトを運営するのに必要なインフラ構築の支援に乗り出すよい機会だと述べ、技術系企業は拡張性および可用性の分野でSNSサービスを支援する方法を探るように、とアドバイスしている。
Pierce-Grove氏はさらに、SNS市場が混み合い始めると整理統合の動きも出てくるだろうとの見方を示したが、だからといって、必ずしも小規模なSNSサイトがその動きに飲み込まれてしまうわけではないという。たとえば、1つのテーマに特化したSNSサイトなどは一定の役割を果たし続けると見られる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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