シード・プランニングでは、2007年の秋から2008年の春にかけて、およそ半年間に渡り、モバイル広告市場の動向について市場調査を実施した。
当社では毎年インターネット広告市場の調査を実施して調査レポートにまとめているが、2007年に発表した「2007年版 インターネット広告の市場動向調査」というレポートの折に、ヒアリング先の事業者が異口同音に、「今後の成長領域はモバイルである」と話していたことが、モバイル広告市場への関心のきっかけであった。
今回の調査結果の詳細は「2008年版モバイル広告の市場動向調査」(2008年4月発刊)にて報告をしている。
調査結果の概要を述べると、モバイル広告市場は、通信インフラの進展と、パケット定額料金サービス加入者の伸びに連動して、2008年の市場規模は1000億円を超え、2011年には2500億円を突破することが想定されたということである。
本シリーズでは、モバイル広告市場の調査の現場を通して業界関係者からヒアリングをして聞くことができた貴重な情報が、市場のどのような動きを反映されたものであるかということを踏まえながら、モバイル広告市場の全体の流れを述べていくこととする。
今回の調査に当たり、多くの業界関係者の方々にお時間を割いていただいて、お話を伺った訳であるが、この場をお借りして、「市場から戴いた情報は、市場にお返しする」というスタンスで、今回の調査結果サマリーとしてご報告させていただく。
本シリーズにおいて記述する情報は、ほんの限られた時間で、限られた事業者の方々にお聞きした話や、公開データを参照にしてまとめあげたものである。また、執筆者の潜在的な先入観や、恣意性を完全に排除することは不可能である。
このことを前提に、モバイル広告市場動向についての「一調査員による一情報」として参照いただき、また、市場についての議論のたたき台としていただければ幸いである。市場における個別の事業者動向や、数値的な報告については、当社資料をご参照いただきたい。
モバイル広告の市場は、現状においては、インターネット広告市場の一部に位置付けられる。インターネット広告が表現されるデバイスがモバイル(携帯端末)である場合、その広告はモバイル広告の範疇となる。
シンプルに述べると、モバイル端末上で見られる広告は、モバイル広告ということだ。モバイル広告の種類は、PCインターネット上において存在する広告フォーマット、ユーザーリーチのための広告手法、課金形態が、ほぼそっくりそのまま当てはまる。
すなわち、メール広告、バナー(ピクチャー)広告、リスティング広告、アフィリエイト広告、編集タイアップ型広告、動画広告など、PCインターネット上で呼称されている広告の種類は、すべてモバイル広告上でも実現可能であり、またPCインターネット広告と同様に種類分別されている。
ただし特徴的なのは、広告の種類ごとの人気度が、PCインターネット広告市場における構成比とは異なることである。例えば、メール広告は、PCインターネット広告よりも、モバイル広告の方が市場全体におけるプレゼンスが高く、広告効果も高いといわれている。このことは、ユーザーとの接触において、PCとモバイルの端末特性が異なることがもたらしている結果といえよう。
では、モバイル広告市場の現状について、有力事業者はどのように捉えているのだろうか。
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