2014年は「動画元年」だったのか?--YouTuber事務所「UUUM」鎌田社長に聞く - (page 2)

井指啓吾 (編集部)2015年01月23日 12時00分

「YouTuber最大1000人採用」に倍以上の応募

――12月16日からクリエーターを最大1000人募集している。

  • 「UUUMネットワーク」トップページ

 お陰様で定員の倍以上の応募をいただくことができました。現在審査が終わり、1月26日から合格者に対して順次サービスを開始していく予定です。

――これだけ多数のクリエーターを募集した理由は。

 そもそも海外のビジネスモデルの中にMCN(マルチチャンネルネットワーク)というものが存在していることはUUUMを立ち上げた当初から認識していました。

 ただ、僕らにその時必要だったのは何よりもYouTubeに対してのノウハウでした。トップクリエーターの皆さんをサポートすることでそのノウハウが蓄積され、またGoogleとの関係が強固になったいまだからこそ、次のクリエーター育成に向けての次のチャレンジをしたいと思ったのがきっかけですね。

――どのような審査基準だったのか。

 詳しくは言えませんが、今回は現時点での動画本数や再生回数のみを見るわけではなく、今後にわたって価値のある動画を配信できる可能性を感じたクリエーターも含めて合格ラインを設定しました。

――具体的にどういった方が応募していたのか。

 HIKAKINを真似て動画を投稿している方などもいれば、自動車紹介系、オリジナル音楽系、美しい映像系、オリジナルコント系、スポーツテクニック系など、現在所属のクリエーターとは違った多岐にわたるジャンルのクリエーターから応募を頂きました。YouTubeのクリエーターの裾野の広さを改めて感じました。

――今回募集したUUUMネットワークのクリエーター向けにはどういったサービスを提供するのか。

 そもそも「UUUMに所属すると仕事がもらえる」という先入観があると思います。もちろん企業からの依頼も多いですが、もっと動画を制作する環境を提供できればと考えています。

 具体的には、すでに権利処理された楽曲や画像を提供するほか、日々のYouTubeへの投稿に対しての後押しとなるような機能とクリエーターにとってより動画制作に注力しやすい環境を、今以上にシステムを通して提供していく予定です。また、定期的なクリエーター同士の交流会、研修会などアナログな部分も含めて双方向でサポートしていきたいと考えています。


UUUMネットワークのクリエーター向けポータルサイトを1月26日以降にリリースする予定という

――今後も募集は続けていくのでしょうか。

 そうですね。今回定員を大きく上回る応募を頂いたということもありますし、いずれ第2弾、第3弾募集も実施し、より幅広いクリエーターを支援していけるようにしたいです。

YouTuberに求められるモラルとUUUMの役割

――つまようじ混入の動画が世間を騒がせた。動画が投稿されたのはYouTubeだったが、鎌田社長はこの出来事をどう考えるのか。

 あのような動画がYouTube上にアップロードされて話題になるというのは非常に残念です。そもそもYouTubeのコンテンツは、運営側が24時間監視して、コミュニティガイドラインを遵守していない動画を削除することになっています。アップロードする時点では、コンテンツ内容は投稿者の倫理観に任されているわけです。このような自由度の高いサービス設計にしているからこそ、自由なコンテンツを自由に視聴するという今の構造が成り立っています。

――社会インフラのようなものだと。

 はい。しかし、今回のような事件のような悪質な動画がアップロードされる背景として、「再生回数を増やすこと」や「目立つこと」が目的化してしまっているところがあるのではないかと思います。当社所属のクリエーターは「好きなことを共有したい」とか「面白いコンテンツを届けたい」という一心で毎日動画を撮り続けています。再生回数はあくまで結果であって目的ではありません。

 彼らは脚本、撮影、編集まで一人でこなしながら毎日動画を撮り続けてきた結果、現在の再生回数に至っています。地道な努力が必要なんです。UUUMネットワークに参加してくれたクリエイターに対してはこうした経験談やYouTube上のモラルも合わせて伝えていくことで、クリエーターのリテラシー向上にも貢献していきたいと考えています。

――今後の展開は。

 引き続きトップクラスのクリエーターのサポートやプロモーション活動を一層強化するとともに、新たにUUUMネットワークに加入したクリエーターの支援に力を入れていきます。また、これらクリエーターの活躍の場を広げるために、どんどん新たな事業にもチャレンジしていきたいと考えています。

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