16歳で起業した経験を持つソフトウェア開発者が、インターネット時代の知的所有権問題を考えるうちに政党を作ってしまった。「海賊党」(Pirate Party)という名の政党は、特許システムの廃止、著作権法の改正、ファイル共有の無料化を訴えて6月の欧州議会選挙に出馬したところ、1議席を獲得。ファイル共有問題に悩む欧州に大きなショックを与えた。
「世界を変えるために、自分に与えられたチャンスと強く感じた」――海賊党の設立者で党首を務めるRickard Falkvinge氏に、海賊党を結党した経緯や主張について話を聞いた。
海賊党は2006年に結成しました。同じ年に行われたスウェーデンの選挙では、得票率0.63%で、議席獲得には至りませんでした。しかし今回は7.1%の票を得て、1議席を獲得しました。
次に、なぜ海賊党を結成したのかの理由をお話しましょう。
2005年、スウェーデンで著作者が許可していないファイルのダウンロードを違法とする法律が成立しました、これを受け、著作権法に関する議論が高まり、カフェやテレビ、ラジオ、学校など、さまざまな場所でこの問題についての話し合いがなされました。
ですが、ここに政治家の姿はありませんでした。政治家がこの問題に関心を持たなければ、これが国民にとって重要であることすらわかってもらえません。この問題は、橋の建設や失業率のようにわかりやすいものではありません。どうやったら政治家の関心を得られるのか?――そこで、政治の場に参加すればどうか、と考えました。そうすれば、この問題を政治家に突きつけることができます。
文化の共有、知識の無料/自由化、適切なプライバシーの3つを掲げています。
ですが、海賊党の意義は個々の主張というより、「情報政治学」の登場だと思っています。われわれのことを“単一争点政党(single-issue party)”と呼ぶ向きもありますが、あらゆる大きな動きが登場するとき、焦点はまず単一の問題に向けられます。1920年代に労働者の権利問題から政党が生まれ、その後、労働者の権利が生活のあらゆる面に関与することがわかりました。最近では環境問題から政党が生まれています。
海賊党もこれらと同じで、情報時代の問題に着目して発足した政党です。そして、実際のところ、情報は福祉を除き、社会のほとんどに関係があります。
たとえば税金の場合、われわれは税率を1%上げろ/下げろとはいいません。そうではなく、「税務署は容疑なしに納税者の個人情報を詮索してはならない」と主張します。
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