Mozilla Foundationの会長で、「トカゲ世話役主任」でもあるMitchell Baker氏にとって、事態はますます複雑化している。
Microsoftの「Internet Explorer」がMozillaの「Firefox」の唯一のライバルであった日々は過ぎ去った。新しいオープンソースのブラウザである「Google Chrome」が登場したのだ。しかもそれは、Mozilla Foundationの2007年の収入である7500万ドルのうち、6600万ドルをもたらした会社からだった。
「Opera」や「Safari」など、ブラウザの選択肢はほかにもあるが、Chromeは、技術通で新しもの好きのGoogle検索の達人たちに受け入れられる可能性が高い。彼らはこれまで「Firefox」を熱烈に支持していた。しかし、Baker氏は心配していない。
同氏は、ひとつには、Mozillaが得ているGoogleからの収入は、ユーザーがMozillaに内蔵されているGoogle検索機能を使ったときに発生する共有広告収入だと主張する。つまり、Mozillaはただの広告パートナーだということだ。周知の通り、米司法省の独占禁止法違反での法的措置の懸念からGoogleはYahooとの提携を断念したが、Googleははるかに大きいライバルであるYahooに広告パートナーのステータスを拡大したいと考えていた。
もうひとつは、同氏にはChromeの市場シェアが脅威に感じられないということだ。もちろん、無関心なわけではない。筆者は米国時間11月18日、Google、Chrome、新しいHTMLバージョン5、ウェブの未来などについて、同氏の意見を求めた。ここでは、そのインタビューの一部をお届けする。
Baker氏:私たちにとっては大きな数字です。私たちが期待していたのに近いものであり、満足しています。事業を維持し、さらにいくらか貯金するのに十分な金額です。私たちは柔軟性と自由を確保しつつ、この収入を上げることができました。
Baker氏:多くの場合と同様、(事実上)大量購入割引があるからです。たいてい、量が増えると、1つ当たりの受取金額は減ります。1検索当たりの収入も正比例ではありません。
Baker氏:その通りです。けれども、ほとんどの人たちが忘れていることですが、私たちはGoogleだけでなく、Yahooとも契約しています。Googleの市場シェアと初期設定が意味しているのは、(Mozillaの収入の)大半がGoogleによるものだということです。少額ですが、私たちはAmazonからも収入を得ています。
Baker氏:「Google AdSense」(ほかのサイトにGoogleの広告が表示され、広告がクリックされると、Googleが収入の一部を得られる)でウェブサイトを閲覧するのに似ています。広告を配信するための仕組みです。
Baker氏:おっしゃる通りです。AdSenseプログラムではなく、広告収入です。
Baker氏:私たちは慎重に見守っています。しかし、特に心配しているかといえば、そうでもありません。Chromeはある程度の市場シェアを獲得すると思いますが、急増するとは思っていません。Mozillaの市場シェアは拡大し続けており、今後も順調だと思います。GoogleとMozillaの仕事面での関係は、双方にとって良好です。
Baker氏:オープンソースとコミュニティーという、私たちの取り組み方法は変わっていません。Googleには、非常に優秀な人材と、私たちが想像する以上のリソースが豊富にあります。GoogleとChromeからは興味深い画期的なものが登場すると思いますし、そう願っています。ブラウザの世界ではすばらしいアイデアが行き交っています。Chromeで披露される新しいものは私たちすべてに恩恵をもたらしてくれるでしょう。Mozillaについていえば、私たちはNIH(自前主義)症候群に陥ってはいません。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」