フォン・ジャパンの掲げるインフラ 2.0の世界--ユーザーが作る無線LAN共有サービス - (page 2)

インタビュー:岩本有平(編集部) 文:吉澤亨史2007年01月18日 19時18分

--ISPの契約約款によっては、契約ユーザー以外の回線利用を禁止しています。

CEOの藤本潤一氏 FONのサービスは「ただ乗り」ではなく、ISPの退会率低下にも有効なサービスだと語る

 その点に関してはポジティブに見ています。FONの普及がADSLの退会率低下につながることは欧州で実証されていますし、多くのISPがFONに大きな興味を示しています。事実、欧州では特に問題は発生していませんし、日本でもネガティブな意見やクレームも現在のところありません。

 ISPの契約時の約款などといった問題はありますが、急にすべてを変えられるわけでもないので、半年といった長いスパンでじっくりとサービスを作り上げていきたいと思っています。FONもISPもゴールは同じですからね。現在エキサイトと提携していますが、ほかにもいろいろなISPと交渉が進んでいます。

--FONの競合サービスはどこになるのでしょうか。

 現在のところ、競合と呼べるサービスはないように思います。無線LANという視点ではあるかも知れませんが、そのほとんどはビジネスのニーズであって、今後もニーズは増えていくでしょう。ですが、わたしたちはそこにフォーカスしているわけではありません。あくまで個人ユーザーにフォーカスしていて、たとえば住宅地などで使いたいときに使いたい場所でインターネットを利用できる、しかもセキュリティがしっかりしていることを目指しています。これをわたしたちは「インフラ 2.0」と呼んでいますが、フォーカスしているのはライトな利用ユーザーなんです。

 ライトなユーザーがお互いにインフラを共用する。だから無料で提供できるのです。わたしたちはプラットフォームを提供しているだけで、インフラはユーザーのものを使用しています。そしてそれを活性化するためにコミュニティを提供していく。投資がないから無料にでき、ユーザーにメリットがあるわけです。ビジネス用途の場合は、今すぐに品質の高いインターネットアクセスを利用することが前提となるため、費用が発生しても構わないということになり、それはそもそもFONとはモデルが異なるわけです。わたしたちはあくまでも、個人ユーザーにメリットのあるサービスを提供していきたいと考えています。

--この1カ月の率直な感想をお聞かせ下さい。また今後のサービス展開について教えて下さい。

 予想以上のユーザーに登録いただき、注目されていることを実感するとともに、自信にもなっています。フォン・ジャパンのサイトではアクティブユーザーを地図上で確認できるようになっていますが、この表示がどんどん増えていくのを見るのはうれしいですね。サービス拡大のお話しもたくさんいただいています。現在はサポート体制を充実させているところで、ここでしっかりと対応できるようにしておかないと、続いていかないと考えています。

 ユーザー数は、最初の1年間で7万5000人を目標としていますが、個人的にはもう少しいきそうな印象があります。ただ、アクセスポイントにばらつきがあったり、半径が小さかったりと、弱い部分も見えてきています。まずはこのあたりをしっかり対処していきたいと考えています。目標は7万5000ユーザーですが、数だけでなく、アクセスポイントの接続状況などの面でクオリティの高い7万5000ユーザーを目指したいと思います。

 アクセスポイントが2〜3万程度に増えた時点でAliensサービスも開始する予定です。無線についてもWi-Fiにこだわっているわけではありません。将来的にはWiMAXなども視野に入れて柔軟に対応していきたいと考えています。

FONのアクセスポイントを示した地図 FONのアクセスポイントを示した地図。緑色の丸印が現在アクティブなアクセスポイント

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