もうひとつ、最近の例では「Google Safe Browsing」という機能も提供しています。これはGoogle側のサービスが、表示しようとしているウェブページが安全なページか、危険なページ、例えば詐欺などの目的でつくられた偽のページかを教えてくれるというものです。
Google Safe Browsingは、最初は独立した「拡張機能」でした。現在は「Googleツールバー」の機能として提供されています。そして、Firefox 2では標準機能として採用される予定です。
人々がどういう理由で製品を気に入り、どういう理由で製品を使うのをやめるのか――それを知るのは重要なことだと思います。そこでFirefox 1.5では、製品をアンインストールする人に対して「どうして製品を使うのをやめるのか」を尋ねるアンケートの機能を加えました。この前、その第1回目の結果を集計したところです。約半分の人は「ただ、もう1度、インストールし直すだけ」という答えでした(笑)。
そうでない人たちで、Firefoxを使うのをやめた人たちで多かったのが「ウェブサイトがちゃんと表示されなかったから」という答えでした。原因はウェブサイトがInternet Explorerでしか動かない特定のActive Xコンポーネントやプラグインに頼っているからです。
このアンケートの結果は、今後の製品開発に大きな影響を与えると思います。ちなみにアンケートでは「印刷機能の不具合で困りましたか」という質問もあったのですが、でもほとんどの人は気にしていなかったようです(笑)。
そうなんですか。私自身ではその拡張機能を試したことがありませんが、大変、おもしろい試みだと思います。ただ、課題も多そうですね。例えばGeckoの側とIEエミュレーションの側とで、クッキー情報を同期しなければなりません。そうしないと、同じウェブページの一部をIEで、そして一部をGeckoでアクセスしているような状況に対応できないからです。
私が考えるに、やはりベストな方法はFirefoxそのものを改良し、ウェブサイトの側にもFirefoxを支援してもらう、ということだと思います。もし、われわれがFirefoxにIEエミュレーションを埋め込むようなアプローチを取ったら、Mac版FirefoxのユーザーやSafariのユーザーにはかえって大変な思いをさせるだけでしょう。そうしないためにも、ウェブのスタンダードを守ることは重要なんです(笑)。
次の次のバージョンアップとなるFirefox 3で大きな変更を行います。
これからリリースするFirefox 2は、1.5のレンダリングエンジンを使って、ユーザビリティの部分を改善することになっています。1.5ではいくつかやろうとしていて、時間的に間に合わなかったユーザビリティの改善があるのですが、Firefox 2ではこれらやり残しの仕事をあまり時間をかけずに実現する予定で、レンダリングエンジンにもほとんど手を加えないつもりです。
Firefox 3のレンダリングエンジンでは、まず、これまで長い間、解決されずにいたバグをなくします。それに加えてパフォーマンスを改善し、いくつかの新機能を加えます。
例えばHTMLコンテンツの回転や変形を行う機能を加えます。なんでそんな機能がいるのか不思議に思うかもしれませんが、こうした自由自在の表現は、やがてFirefoxで重要になってくるSVG関連の機能にとっても重要になってきます。
もうひとつはグラフィック機能を向上させたり、印刷機能を向上させるために、「Cairo」という新しいグラフィック・インフラストラクチャが加えられます。例えばこれまでレイヤのあるページを印刷する時に、背景が真っ黒になってしまう問題があったが、これもCairoで解決します。
Cairo自体は、Firefoxとは無関係の別のオープンソースプロジェクトから派生したものです。その正体はグラフィックスのライブラリで、Linux系のデスクトップ環境やEclipseなどでも使われています。
Cairoはフォントのレンダリング向上にも大きな効果をもたらします。例えばインド系文字や中国語、日本語など複雑な文字のレンダリング性能を向上させるはずです。ただ、ここで注意しておきたいのはレンダリングエンジンの改善はFirefox 3で行われる改善のほんの一部に過ぎない、ということです。
私が気に入っているのは「ブックマーク」や「履歴」をもっと簡単に使えるようにする機能です。
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