「Xbox」や消費者向けの無償サービスが華やかな話題をふりまいているなかで、Microsoftの400億ドルにのぼる売上の大半を稼ぎ出しているのが企業向けのソフトウェアであることは忘れられがちだ。
Microsoftがこの利益の相当部分を確保し続けられるかどうかは、Jeff Raikesの肩にかかっている。RaikesはBusiness事業部のプレジデントとして、Microsoftの年商の4分の1を稼ぎ出す「Office」製品ラインの成長を維持し、新しい種類のライバルから同社を守る手だてを探っている。
昨年の組織改編を機に、社内でのRaikesの役割はさらに拡大した。CNET News.comは先頃、Raikesにインタビューを行い、中小企業向け会計ソフトウェア市場におけるIntuitとの戦い、「Office Live」に関する計画、そして広告を利用して無償でソフトウェアを提供する企業が登場する可能性について話を聞いた。
--Microsoftの「Small Business Accounting 2006」は発売されたばかりです。この段階で大幅な値下げを行ったのはなぜですか。
意外だったのは、初期の購入企業の半数以上が、(Intuitの)「QuickBooks」のユーザーだったことです。われわれは(ペンと紙を利用する)アナログの会計手法をデジタル化したいと希望する企業が、この製品を購入するのではないかと考えていました。今回の値下げは、この製品の有用性をより多くの中小企業に知っていただく機会になると思っています。
--「Small Business Accounting」の売れ行きは予測通りですか。
予測通りですし、この製品には大いに期待しています。われわれは長期的な視野に立って、この製品に取り組んでいます。一朝一夕で、大きな市場シェアを獲得できるとは考えていません。最初にある程度の弾みをつけ、それをてこに、徐々にシェアを拡大していくつもりです。
--会計ソフトウェアに対する取り組みは、Office Liveとどう結びつくのですか。Microsoftの説明によれば、Office Liveは小規模企業向けのサービスを無償で提供するものなのでは。
Office Liveは小規模企業のインターネット利用を支援するものとなる予定です。Office Liveのユーザーはドメイン名のほか、Eメール、ウェブサイトなどのホステッド・サービスを無料で利用できるようになります。ベータ版にはすでに7万社以上から申し込みがありました。さまざまなシナリオが考えられますが、小規模企業と会計士が会計データを共有することはそのひとつです。会計ソフトウェアも、全体のビジョンを構成するひとつのパーツなのです。
--ベータ版には7万社から申し込みがあったということですが、それほど多くの企業からの要求を、一度に処理することは可能なのでしょうか。それとも利用時間をずらすのですか。
7万社、またはそれに近い数のユーザーの要求を処理することは十分に可能だと思います。すでに発表している通り、ベータ版の提供は2006年第1四半期を予定していますが、準備は着々と進んでいます。
--1年以内に、大手企業が広告を利用して、ソフトウェアの無償提供を開始する可能性はどのくらいあると思いますか。
大いにあると思います。GoogleとSun Microsystems(が昨年発表した提携)に関する騒ぎも、これに関するものでした。もっとも、提携の具体的な内容は市場を落胆させるものでした。少なくとも、われわれの目にはそう映りました。市場はもっと実のあるものを期待していたのです。
コンピュータの性能と使い勝手は飛躍的に向上しており、人々はこのパワーを利用したいと考えています。ユーザーの心を捉えるためには、このパワーをローカルとオンラインの両方で利用する方法を提案しなければなりません。われわれが「ソフトウェア+サービス」という表現を使っているのはそのためです。重要なのは、両者を同時に利用することであり、それこそ、われわれがOffice Liveで実現しようとしているものなのです。競合企業はどちらかというと、「ソフトウェア対サービス」という図式を志向しています。
--Office Liveの対象は中小企業に限られるのでしょうか。
Office Liveは、Microsoftがオンラインで提供するオフィスツールの利用経験を指すブランド名です。Office Liveを利用するのはインフォメーションワーカーかもしれませんし、小規模企業、大企業、あるいは学校かもしれません。
初期に提供されるソフトウェアは小規模企業を対象としたものとなりますが、当社のビジョンや長期的な目標はあらゆる市場に及んでいます。このビジョンの一部は、すでにいくつかの点で実現されています。ウェブベースの「SharePoint」や「Exchange」、マネージドサービス、Exchangeのサービスである「FrontBridge」などはその一例です。これらは当社の大きなビジョンの一端を示すものですが、未来にはさらに多くのチャンスがあります。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」