IntelのMooly Eden氏は興奮している。何か、大きな約束をする気になっているのだ。
大胆な発言で物議をかもしているこのイスラエル人は、現在IntelのMobile Platforms Groupのゼネラルマネジャーの職にあるが、初代「Pentium M」プロセッサの誕生に携わった人物としても、同社の歴史に名を残している。低い消費電力と高い処理性能を両立したPentium Mは、Intelのイスラエル研究所で生まれた。Core Duoチップも、この研究所の研究成果だ。
Intelは現在、Pentium Mの流れを汲む次世代マイクロアーキテクチャをもとに設計された新型チップの投入準備を進めている。Edenが興奮しているのはそのためだ。Intelは、Advanced Micro Devices(AMD)に市場シェアを奪われ、最近は株価が低迷しているが、今年後半に新しいチップが登場すれば、処理性能の点でふたたび首位に立つことができるとEdenは見ている。実際、Edenは社内試験の結果と、AMDの公開ロードマップをもとに、Intelの新チップの処理性能が、同時期に発売されるAMDのチップを最大で20%上回ると考えている。
EdenはCNET News.comのインタビューに応じ、新チップに関する予測を改めて主張すると共に、Intelにとって、このアーキテクチャが持つ意味を語った。Intelは今月開催されたIntel Developer Forumで、このアーキテクチャの詳細を明らかにした。
--「Yonah」(「Core Duo」チップの開発コード名)では、キャッシュの共有が話題となっています。AMDのチップはコアごとに専用キャッシュを用意していますが、Yonahでは複数のコアが1つのキャッシュを共有するようになっています。これによって、処理性能はどのくらい向上するのでしょうか。それとも、これは性能ではなく、柔軟性を高めるためのものなのですか。
処理性能は大幅に向上します。問題はアプリケーションの種類です。アプリケーションごとに考えてみると、たとえばシングルスレッドのアプリケーションの場合、Yonahと競合チップの性能格差は非常に大きくなります。Yonahでは、利用される方のコアが、コアのキャッシュのすべてを利用できるからです。(コアの)キャッシュが1MBから2MBになれば、プロセッサの処理性能は10%から15%程度、簡単に向上します。
デュアルコア路線を決定した時に不安だったのは、マルチタスクやマルチスレッド環境では高い処理性能を実現できても、シングルスレッド環境では、多くのソフトウェア開発者が「前のシステムの方がよかった」と感じるのではないかということでした。(シングルスレッドのアプリケーションで)キャッシュのすべてを利用できるようになれば、これは非常に大きな強みとなります。
--Yonahが発表されたばかりですが、ノートPC用プロセッサのアーキテクチャに関して、他にも変更または改善すべき点はあるのでしょうか。今後は何に取り組むつもりですか。
技術コミュニティの一員として、われわれは(次世代マイクロアーキテクチャを)非常に誇りに思っています。このアーキテクチャは「Dothan」よりもはるかに高度なものだからです。「Banias」(Pentium Mの開発コード名)とその後継であるDothanは、まったく同じアーキテクチャを採用しています。DothanはBaniasのサイズを圧縮し、キャッシュ容量を2MBに増やしたものにすぎません。マイクロアーキテクチャにはさまざまな改良を加えましたが、どれも局部的な変更でした。
「Merom」(Yonahの後継プロセッサ)では、パイプラインの段数は14となる予定です。命令帯域は3wideから4wideに拡大され、分岐予測も改良されます(4wideとは、1つのクロックサイクルで4つの命令を実行できることを意味する)。これはクロックの大きな変化であり、互換性を確保するために、さまざまなパイプラインでシーケンスを実行するために要する時間も大きく変わってきます。
数々の技術革新や、Meromに盛り込まれる新機能のことを考えると、競合企業がこの差を埋めるまでには、少なくとも1年半から2年はかかるでしょう。手法や情報を囲い込むつもりはありません。今後はさまざまなこと--たとえばマイクロコードや、「micro fusion」「micro-ops fusion」の方法などに取り組みたいと思っています。
--あなたは他社の開発計画を理解した上で、こうした比較を行っているのですか。それとも、Meromのアーキテクチャだけを根拠にしているのですか。
競合企業の将来のポジションを見極めようとしている、という表現はどうでしょうか。推定に基づいて、われわれの製品のほうが優位にあると申し上げているのです。この推定は正しいかもしれないし、間違っているかもしれない。そのリスクがあることは承知しています。それでも、われわれは次世代マイクロアーキテクチャによって、他社を大きく引き離すことができると確信しています。
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