サービスを続々と投入する新生ミクシィのこだわり

別井貴志(編集部)2006年02月08日 15時02分

 ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「mixi」と求人情報サイト「Find Job !」を運営するイー・マーキュリーは、2006年2月1日から社名をミクシィに変更した。1999年6月に有限会社イー・マーキュリーを設立して以来(Find Job !の運営は1997年11月に開始)5年で、後発のサービス名を社名にした背景や思惑には何があるのだろう。また、今後どんな展開を見せてくれるのか。ミクシィの代表取締役である笠原健治氏に聞いた。

--2月1日に社名をミクシィに変更した背景は何でしょうか。

 mixiを開始するときに、多くの人が日常的に利用するコミュニケーションインフラを目指しました。当時から、事業構造的にmixiが事業の中心になる可能性が高く、社名をミクシィにする可能性はあるのではないかという話も出ていたのです。

 区切りとしては、ユーザー数が250万人を超えて、ページビュー(PV)も1日あたり1億PVを超えてきた(現在およそ1億3000万PV)ことがあります。また「mixi」という言葉が認識されるようになったこともあります。日常で外食などをしていても、横の人がmixiの話をしているなんてこともありますし、、自分の紹介のされ方も「mixiの笠原さん」と言われることが多くなりました。さらに、エンジニアの人材募集に関しても、「イー・マーキュリー」よりも「mixi」で募集した方が通りがいいのです。こうしたことも含めると、イー・マーキュリーでいることの機会損失が、これからもっと増えてくるのではないかと考えたのです。

 ただし、旧社名のイー・マーキュリーに対する愛着が強いので、自分の中では非常に迷ったり、悩んだりしました。

--ちなみに、社名の由来は何でしょう。

 イー・マーキュリーは、ローマ神話の商業の守護神「マーキュリー」にネットの意味の「イー」を付けました。ネットを介して企業向けにいいサービスを提供していこうという意味です。求人情報サイト「Find Job !」は完全に企業向けサービスです。一方で、mixiは「mix」が交流を表し、「i」は人を指して、人と人が交流するという意味合いです。単語のイメージや発音なども気にして両方とも自分で名づけました。

--社名変更の反響はいかがでしたか。

社内では、意外とすんなり。古くからいる人は寂しがっている人もいるが、基本的には肯定的に受け止められてます。もっとも未練がましくしているのは僕なんです。いまだけだと思いますが、寂しさがあります。その一方で、mixiがここまで大きくなってきたことは非常にうれしいです。しかし、これからはmixiで障害や不具合など、何かあった場合には会社全体のダメージになるので、一段と気を引き締めていかなければなりませんね。

--イー・マーキュリーを設立した当初は、mixiのサービスを考えていましたか。また、mixiがこれほど成長すると予想していましたか。

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 設立当初は、コミュニティーサービスを考えていませんでした。企業向けのサービスを展開していたのですが、結局そうしたサービスでも最終的にはどれだけ消費者向けにリーチできるかが重要だったので、企業向けだけでは成長スピードは十分ではないと思っていたのです。

 そこで、もともと消費者向けに何か提供できないだろうかと考えてはいたのですが、米国のFriendster(世界初の最も高い人気を誇るSNSの1つとして一世風靡したが、身売り話がでるほどにビジネスは衰退)に触れたとき、こうしたサービスを展開すれば非常に多くの人が毎日コミュニケーションするために活用してもらえるサービスになり得ると感じました。

 これをやってみない手はないなと感じて、やる以上はできるだけ多くの人、インターネットユーザーの何割かの人にmixiのIDを持ってもらって、そこで、毎日身近な人とのコミュニケーションとか、自分にとって興味や関心のある物事などの情報収集などを手がけられるサービスにしようと考えました。

--これまでは、業績的にはFind Job !がリードして展開してきましたが、社名も変更して今後はmixiを前面に押し出していくわけですが、そうなるとこうした収益のバランスはどうなるのでしょう。

 まず、サービスの売り上げ構成としては、Find Job !とmixiの2つで100%。ウェブ作成やコンサルティングのようなものは一切やっていません。前期の売り上げ比率でいくと、圧倒的にFind Job !の比率が高いです。これに対してmixiは、2005年1月ぐらいから収益が増えてきて、mixi単体で単月黒字化したのが2005年3月です。そこから、ずっと黒字を続けてます。

 もう少し説明しますと、Find Job !は求人情報を掲載するにあたっての掲載料(広告)収入がほとんどです。たしかにmixiの成長率は高いのですが、これが柱になっていくとはいいませんが、大きな比重になってくるのははっきりしています。

 今回の社名変更は、収益上のバランスというよりは、事業構造上の意味合いのほうが強いのです。mixiは広く一般の人に使ってもらうサービスだが、Find Job !は求人、求職という分野なので、けっして老若男女問わず、だれもが使うサービスではありません。mixiの中で、人材や職を求める人はFind Job !を使ってもらうという流れができればいいなと考えています。

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