米GoogleインターナショナルプロダクトマネージャーのAngela T. Lee氏は、Google初のインターナショナルプロダクトマネージャーとして入社してからの4年間、Googleのサービスの国際化に力を注いできた。「CNET Japan Innovation Conference(CJIC)2005 Autumn 次世代ウェブの検索サービスを探る」でGoogleのサービス開発姿勢について講演したLee氏に、Googleの最新動向や国際化戦略について聞いた。
--先日開始したアクセス解析サービス「Google Analytics」が大きな話題となっています。
Google Analyticsは、今年に4月に買収したUrchinという企業の技術を使ったサービスで、ウェブページのアクセスログを解析するサービスです。AdSenseなどを利用している人やEコマースのサイトはもちろんのこと、そうでない一般のウェブサイトのオーナーでも、自分のサイトをより良くしたいという願いがあると思います。せっかく載せた情報なんだからみんなに見て欲しいと。
でも、構造が入り組んでいたり、階層の深いところに情報が入っていたり、リンクを張り間違えてしまっていたりして、なかなかユーザーにきちんと見てもらえないサイトもあると思います。Google Analyticsはそういう原因を究明してウェブサイトを改善するのに役立つサービスです。
よく「検索のリスティング広告では徹底的にROI(費用対効果)を追求してください」といった言葉を聞きますが、そのためには実際の成果をなんらかの方法で計測しないといけません。
自分のウェブサイトに来た人達は、いったいどこから来たユーザーなんだろうか、一体リスティング広告は本当にトラフィックに結びついているんだろうかといった疑問を持っている人は数多くいるはずです。そういう人には、やはり自分でアクセス状況を分析するのが最良の解決策で、Google Analyticsはそれを助けるツールと言えます。
--このツールを提供することでGoogleにはどういうメリットがあるのでしょう。
我々はプロダクトを開発するときに、あまりそういうことは考えないんです。例えばGoogle Earthにしても同じで、Googleに何かのメリットがある開発しようという発想ではなく、「こういうものがあったらいい」「便利だ」という発想に基づいています。
Analyticsにしても同じで、開発段階では、「こういうものがあると便利」といったことしか考えていません。まあ、強いて言えば「AdSenseやAdWordsのパフォーマンス向上につながるから」というところでしょうか。
実際、AdWordsの広告から自分のサイトのどのページにリンクさせるかによって、購買活動につながるかどうかが大きく変わります。その点ではAnalyticsを役立ててもらえるはずです。
--しかし、これまで有料であったUrchinを無料にするとなると、Urchinのビジネスはどうなるのでしょう。
Urchinは現在Googleの一部ですから、Urchinのビジネスというよりも、Google全体のビジネスとして考えています。Googleはコンテンツを持たない会社ですので、こういうツールを使うことで、ユーザーの方々がもっと上手に自分の持つコンテンツを出していってくれると、それによってGoogleも助かると言えます。コンテンツサイトあってのGoogleですので。
--Analiticsをリリースする計画はUrchinの買収段階からあったのでしょうか。
いえ、そんなことはありません。Googleがどこかの会社を買収する時は、相手がGoogleに持っていないおもしろい技術を持っているということ、さらにGoogleと一緒になることで、もっとおもしろいことができそうだということで判断します。Google Earthの元になったKeyholeにしても、5月に買収したニューヨークのdodgeball.comという会社にしてもそうです。
その後の話し合いでは、プロダクトの開発チームの人達と気が合いそうかという点もかなり重視します。いずれにせよ本当に純粋かつ単純な理由で決まることが多いと言えるでしょう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス