Advanced Micro Devices(AMD)のCEO、Hector Ruizが当時最新のサーバ向けのプロセッサOpteronを発表してから、まだ2年と少ししかたってない。IBMがこのチップを即座に採用したことは、一部では驚きをもって迎えられた。
64ビットプロセッサの開発競争に勝利することは、業界専門家にAMDの存在を印象づけるためのスタンドプレイではなかった。64ビット対応のx86プロセッサを最初に世に出すことで、AMDは強敵Intelに一歩差を付けたのである。
この先制攻撃は、IBM以外のシステムベンダーにOpteronの採用を促す上でも効果的だった。
事実、IBMとの契約は「まぐれ」ではなかった。その後のAMDの快進撃は、企業の失策を繰り返し見てきた批評家たちを驚かせるものだった。Intelとの競争に備えながら、AMDはHewlett-Packard(HP)やSun Microsystemsをはじめとする多数のシステムベンダーを説得し、各社のハイエンドシステムにOpteronを搭載させることに成功したのだ。
しかし、AMDが現在の勢いを維持するためには、チップの開発競争をリードし続ける必要がある。RuizはデュアルコアOpteronの採用促進に邁進するかたわら、新たな分野への進出計画を精力的に進めている。
CNET News.comはRuizにインタビューを行い、技術動向や家電向けのチップ開発について話を聞いた。Ruizはインタビューの中で、ノートPCが100ドルで手に入る時代がすぐそこまで来ていると語った。
--Opteronの登場から2年がたちました。これまでの進捗をどう評価しますか。
たくさんの期待、夢、希望、目標がありました。当初は顧客の間にもさまざまな不安がありました。(Intelという)巨大な存在を恐れるあまり、当社に来ることさえ躊躇する企業もあったとか。そのことを考えると、私はこの2年間の進歩に心から満足しています。
OEM(original equipment manufacturer)コミュニティが、Opteronの可能性に大きな期待を寄せていることは明らかです。難攻不落と思われた市場セグメントに食い込むことができるのではないか、という期待は社内にもありました。私は現在の状況に大変満足しています。
--発売時の目標はどのようなものだったのですか。
2004年末までに、サーバ市場で10%のシェアを達成するというものでした。IDCの調査によると、この目標にはわずかに達しませんでしたが、大局的な視野に立てば、上々の結果だと考えています。
--では、今後の目標を教えてください。
われわれは2年前に、会社の優先順位をひっくり返すことを決定しました。サーバ/エンタープライズ市場こそ、当社の要となる分野だと考えたのです。これはわれわれにとって非常にうまみのある市場ですが・・・同時に、巨人の陣地に真正面から切り込んでいくことでもありました。そこで、われわれはまず外部--特に大企業に、当社にはその力があるということを示さなければならないと考えました。しかし、それは一番難しいことでした。
われわれは長期戦略を策定し、この市場にふさわしいプレイヤーになろうと努力しました。いずれはすべての大企業が、この市場には2つの強力なプレイヤーがいると認識するようになるでしょう。2年前には、強力なプレイヤーは1社しかありませんでした。
--具体的にはどんなことに取り組んだのですか。
ひとつは非常に強力な技術ロードマップと、非常に強力な製品ロードマップを用意することでした。現在、当社にはその両方があります。デュアルコアチップの投入は、(企業顧客に)当社がこの市場に長期的に取り組もうとしていること、そしてこの市場にきわめて高い優先順位を置いていることを証明するものでした。
企業顧客からはベンチマークやデータが続々と寄せられています。デュアルコアチップによって、われわれのリードはさらに広がりました。この状況はこれからも続くと思います。われわれは今後も顧客中心主義に基づいて、サーバ分野の技術革新と製品開発に取り組んでいくつもりです。顧客との関係もますます強固なものとなっています。こうした環境は、当社をエンタープライズ(市場)の代表的なプレイヤーに成長させるものとなるでしょう
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」