エキサイトが「Media 2.0」という新しいメディア戦略を発表した。ニックネームやプロフィールをブログ上で表示させ、興味のあるキーワードに基づくフォーラムや私書箱などの機能を利用できる名刺型ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「エキサイトネームカード」を軸にした事業展開だ。
具体的には、エキサイトネームカードを、ユーザー自らが執筆/編集を行うライフスタイル事典「エキサイトismウィキ」、ユーザーが興味を持ったウェブサイトの紹介記事を投稿できる「エキサイトニュースリンクポスト」、音楽に特化したSNSを提供する英Last.fmと提携した「Last.fm×Excite Music」らのサービスと連動させていく。
エキサイト代表取締役社長の山村幸広氏によると、「Media 2.0は、Web 2.0の考え方を強く意識したものである」という。「ユーザーサイドからの情報発信が当たり前になり、マスメディアを形成しつつあるいまだからこそ、記事に対する信頼性を向上させるために、ネームカードを通して名前やパーソナリティを明らかにしていく必要があるのではないか」(山村氏)
では、Web 2.0時代に求められるポータルサイトの役割とは何なのだろう。技術でなくブランドを前面に押し出すエキサイトのMedia 2.0における収益モデルや、今後の展望などについて山村氏に聞いた。
ひとことで言うと、ポータルサイトを運営するメディア企業として我々がWeb 2.0を考えた結果が、Media 2.0です。Web 2.0と声高に言っているだけでは意味がない、それを使ってどういう形になっていくのかを表していかないと。そういうわけで、真新しいテクノロジーや真新しい考え方を取り入れながら、新しいメディアを作っていく--これをMedia 1.0から2.0への移行と呼んでいます。
Web 2.0を特徴づけるキーワードとして「ロングテール」があります。ニッチなものの集まりが大きな価値を持つというものです。真新しい言葉に聞こえますが、発想そのものはWeb 2.0が登場する前から存在していました。特に、コミュニティはロングテールそのものです。Web 1.0の世界でもポータルサイトはコミュニティで伸びてきた側面を持っています。
Web 2.0では単純なコミュニティに加え、ユーザー同士が直接やり取りをするCtoC機能が追加されている点が決定的に異なっていると思うのです。メディアにユーザーを巻き込んでいくことで、より新しいものができるのではないかと考え、エキサイトでもCtoCのスペースを提供することにしました。
エキサイトでは、多くの人が集まるポータルサイトは必要だと考えています。ポータルにはユーザー同士が作り上げる部分もありますが、いわゆるマスメディアとして運営企業側が情報を発信するという部分もあります。
ユーザー同士が情報を交換するピアツーピア(PtoP)化が進むだろうという流れは5年前でもだいたい想像がついていました。しかし、インターネットの主な使われ方というのは検索です。例えば旅行ならば、行きたい場所や予算、日程、リゾートといったキーワードで検索して、その結果からユーザーが選んでいくというものです。
これに対して、マスメディアが持つ本来の役割は、どちらかといえば生活を提案することではないでしょうか。例えば「今年は沖縄の美しい海へダイビングに行こう」といったことを訴えながら、流行そのものを作っていく役割を担うということです。
これまでインターネットはそういうメディアではなかったので、我々はエキサイトイズムをはじめとする独自コンテンツを作りながら、読者に新しいものを提案できるメディアになっていこうという目標を掲げてポータルサイトを作ってきました。そういった提案型の姿勢は、今後も確実に残っていくでしょう。
それから、Web 2.0に代表されるようなブログやSNSにしても、単体だけで稼働させるのではなく、他のサービスと組み合わせた複合的なサービス形態があるのではないかと思っています。我々が新しく提案しているエキサイトネームカードが、そのひとつです。ネームカードとは、ニックネームやプロフィールをブログ上で公開できるツールのことで、任意に設定したキーワードを通じて他のブログと自動的にリンクしたり、ユーザー同士がメッセージをやり取りしたりもできます。
PtoPの間にポータルが入ることで、ユーザーはポータルで時間を使う機会が逆に増えるのではないかと思っています。もしかしたらポータルへのアクセスがさらに集中するかもしれません。
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