セキュリティソフト「ESET」新版、12月15日から--2015年までにシェア10%狙う

 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は11月16日、個人向け総合セキュリティソフトウェアの新版となる「ESET Smart Security V5.0」とウイルス・スパイウェア対策ソフトウェア「ESET NOD32アンチウイルス V5.0」を12月15日から販売すると発表した。税別価格はSmart Security V5.0が6800円、NOD32アンチウイルス V5.0が4800円。

 新版では、「統合セキュリティソフトとしての進化」「使いやすさの進化」「侵入防止機能の進化」「クラウドレピュテーション技術の進化」の4つの進化を特徴としており、それぞれに新機能が搭載されている。追加された新機能は「ペアレンタルコントロール」「ゲームモード」「リムーバブルメディアの自動検査」「検査後の自動シャットダウン」「ホスト型侵入防止システム(HIPS)」、クラウドベースのホワイトリストを利用して、ファイルの安全性を評価する「ESET Live Grid」が挙げられる。

 日本国内の今後のロードマップでは、個人向けAndroid用セキュリティソフトを2012年第1四半期、法人向けLinux用セキュリティソフトを2012年第2四半期に、それぞれリリースを予定している。

 スロバキアに本社を構えるESETで最高経営責任者(CEO)を務めるRichard Marco氏はもともとNOD32の中核技術でありスキャンエンジンの開発にも携わっていた技術者。「ESETは研究開発にフォーカスしたウイルス検出の世界的リーダーであり、ESETのいくつかの技術はウイルス検出のパイオニアになっている」と主張。現在はウイルスシグネチャとシグネチャ生成、コード解析、エミュレーションの4つの技術によるリアルタイム検出技術が特徴であるとした。

 Marco氏は最近のマルウェアの傾向として、標的型攻撃、オンラインバンクを狙うトロイの木馬、Androidへの脅威、Mac OSを狙う偽セキュリティソフト、ブラックハットSEO、ソーシャルエンジニアリング手法などによる脅威を挙げた。ESETは脅威の傾向を知ることで対策技術を確立し、製品に反映してきたとして、今後さまざまなプラットフォームへ対応製品を投入していくという。

 キヤノンITSの楢林知樹氏(執行役員 プロダクトソリューション事業本部長)は事業戦略を説明。日本でのESETビジネスは、2009年で前年比47.9%増、2010年で同28.8%増、2011年で同26.9%増(計画)と、成熟した市場でも高い成長率を実現し、3年で2.5倍に成長したという。要因として、第三者機関が高く評価する検出率の高さと、多くのユーザーが高く評価する動作の軽快さであるとした。

 ESETの売り上げの約半数は法人向け製品だが、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループの全国販売網を活かし、積極的に中堅中小企業(SMB)市場を開拓したことも要因であるという。2008年以降の平均売上成長率は36%を維持している。個人向け製品でも、ベクターをはじめとする多くのアワードに象徴されるユーザーの高い評価から、やはり2008年以降の平均売上成長率は34%を維持している。キャンペーンの効果が大きいことから、今回の新版の発売をきっかけに再びキャンペーンを展開し、2015年までに現在3%のシェアを10%に拡大する考えだ。

 今後は、SMBから大規模なユーザー層の開拓、販売チャネル拡大のため「ESETセキュリティ パートナープログラム」の推進を販売戦略に挙げ、商品戦略として“多彩なプラットフォームに対応”“多様な購買形態に対応した商品化”を挙げた。ブランド戦略としては、ESETの“技術力”とキヤノンITSの“実装・販売・サポート力”を前面に、異例の広告宣伝費を投入するという。

 トレンドマイクロ、マカフィー、シマンテックの、いわゆる“ビッグ3”との差別化では、ビッグ3が基本的にウイルス対策ソフトのベンダーというポジショニングであることに対し、ベンダーであるESETとSIerとしてトータルソリューションサービスを提供するキヤノンITSの組み合わせで、企業システム全体の最適化を視野に入れたトータルなソリューションを提供することで、独自のポジショニングを確立でき、その点が大きな差別化ポイントであるとした。

写真 (左から)キヤノンITS執行役員の楢林知樹氏、ESETのCEOを務めるRichard Marco氏、ESETレポーターを務めるフリーアナウンサーの渡辺真理さん

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