「[特集]Web 2.0ってなんだ?」では、Tim Oreillyの論文や10月に米国で開催されたWeb 2.0カンファレンスのレポートを通じて、その概念をご紹介してきました。ここでは、Web 2.0をより深く理解するのに役立つブログのエントリをCNET Japan Blog「情報化社会の航海図」でおなじみの渡辺聡氏がご紹介します。
スタートラインに
まずは、話の始まりとして、ここから挙げたい。
■Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(前編)
■Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(後編)
Web 2.0のコア概念を初めて提示したのはEsther Dysonでは?などとの議論もあるが、ウェブ上でまとまったコンテンツ、スタートとするのはTim Oreillyのこの論文として問題ない。
テクノロジーの視点からWeb 2.0を考える
技術的な視点から綴られている代表的な日本語のブログ群を。リストの内容はかなりの方がご存知だろうが、スタンダードセットとしてご紹介したい。
■naoyaのはてなダイアリー:Google Blog Search Launched
■naoyaのはてなダイアリー:microformats って一体何だ?
はてなCTOである伊藤直也さんのブログ。詳しく説明する必要はもはやないことだろう。同社の技術面を強力にサポートしている背骨の方である。CNETで純粋に技術解説のエントリを紹介しても仕方ないため、中間的なものから幾つかサンプルを抜いてみよう。まず「Google Blog Search Launched」から、
よくよく考えてみれば、RSSサーチの要点になる価値の重み付けのアルゴリズムとスケーラビリティの確保ってのは、Google が世界で一番得意とするところなんですよね。なんとなく、「Google は来ない」「来るかもしれないけどまだ先」という温い空気が漂ってたところにそんな得意の兵器でガツンと一発です。
その少し前のエントリになる「microformats って一体何だ?」での
「microformats とは何か?」と言われると、その答えはズバリ About microformats というエントリーに書かれているのですが、これを理解するよりまず具体例から入った方が分かりやすい。現在 microformats と呼ばれているもののうち、すでに実用段階に入っているものがあります。Trackback の議論などでもよく話題に上がる rel="nofollow" がそれ。その仕様は rel-nofollow - Microformats にあります。
あたりが、エンジニア視点からの整理として参考になる。
■blog.bulknews.net:MVC and Web APIs
現在、シックス・アパートに所属する宮川達彦さんのブログ。Bulkfeedsなど今から思えばWeb 2.0と解釈されるサービスを早い時期からリリースされている。Perlの大家、世界的プログラマーとしても名高い。具体的なコードの掲載も合わせてテクニカルな面に寄せた記述が多い。
最近だと、このエントリがストレートで面白い。
Web 2.0 のサービスアーキテクチャを MVC にたとえた記事も。これはすごくストレートに入ってきます。Web API を Controller として提供して、それを利用するサードパーティやデスクトップアプリが View となる。データ提供者は Model と Controller だけを実装して、それを remix / consume する側がさまざまな View を用意できるというアーキテクチャ。
SIビジネスでもアプリケーションを提供するベンダーとハードベンダー、システムを作るSIerは違う企業というのは普通に見られる。サイトを作る際にもデザインのみ制作会社というケースももちろん多々ある。同じく、Web 2.0という世界観でもViewに該当する企業群がたくさん出てくることになる。
他には、Authentication/Identity for Mashupsでの
いずれにせよ Web 2.0 / remix / Mashup なテクノロジーにおいては データのオープン性 と同様、そのデータを外部のサービスとどう remix するかにおいて、Authentication/Identity の果たす役割は大きいんじゃないかなぁ、と思ったりしました。
この指摘。実際に解く役割を果たせるのは誰かと問われると難しいが必要性は高まってきている。どこかが集約したサービスを作るのか、それとも共通規格をまとめてクリアしていくのか。
■Goodpic:情報のマーケットは、脳の内側に広がっている?
シックス・アパート金子順さんのブログ。前職の頃からAmazonのツールであるG-Toolsをリリースするなど積極的な活動をされている。移籍後も海外文献の紹介など、結局のところなにがポイントになるのかに触れたエントリも多い。技術実装と動向把握のバランスが個人的には好みで見ている。
国領教授もかなり早い時期からアーキテクチャ論に絡めて指摘していたりするポイントだが、サービス開発者の言葉として見直すとまた面白い。
- 自分で調べた情報や、実際の体験、考えなどを忘れないようにブログに書いておく
- メールやミーティングの内容を、一箇所で思い出せるようにWikiにまとめる
- iTunesで曲をレーティングしつつ、iPod Shuffleで自分の好みを反映しつつランダム再生 = 自分で「選ばない」ことで、忘れられた曲を発掘
- del.icio.usでWEBページをブックマークしつつ、追加したタグを頼りに、必要なときにWEBサイトにたどり着く
- Bloglinesにフィードを登録して、チェックしたいWEBサイトを忘れずに毎日チェック
このような解釈がアウトプットとして出てくる。
他にも、Tim Berners-Lee卿のインタビューをピックアップしているなど、このバランスの取り方が良い。
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