「メディア・パブ」ブログですでにご覧になった方も多いかと思うが、米国時間13日付けのblogs.MarketWatchに、「Dot-com buyout candidates」という記事が上がっていた。興味深い指摘がいくつかあるので、ここで紹介したい。
Jordan, Edmiston Group--同社のサイトには「メディアおよび情報産業に特化したM&A("Mergers & Acquisitins for the Media Information Industries")」というコピーが踊っている。いわゆる「ブティック」と呼ばれる類の投資銀行だろうか--のTolman Geffsという投資銀行家によると、米国におけるオンラインメディア企業の買収は過去9カ月間ですでに91件に上っており、前年同期の47件から大きく増加しているという。また、大手既存企業によるオンラインメディアの買収が目立っており、2005年はじめのNew York TimesによるAbout.com買収や、ViacomによるAtom Entertainmentの買収が代表例として言及されている。
こうした買収を促す要因しては、オンライン媒体の利用者の増加率が頭打ちになってきていることが挙げられる。オンラインメディア上位10社におけるユーザー数の伸びはこの1年でわずか6.4%にとどまっているが、以前なら「毎月このくらいのペースで利用者が増えていた」と、このブログには書かれている。また、「オンライン媒体のユーザーの価値(広告単価ということか?)は、紙媒体の3分の1程度」といった事情も影響しているようだ。
さて。
問題の買収対象候補に挙げられた企業のなかには、CNET Japanのニュースでお馴染みのところもいくつかある。なかでもっとも注目度が高いのは、最近徐々に収益力が付いてきたとの噂もあるYouTubeだろう。また、ソーシャルネットワーク分野でトップのMySpaceに大きく水をあけられたFacebook、人気ガジェットブログ「Gizmodo」などを擁するブログネットワークのGawker Media、そしてCNET Japanの親会社であるCNET Networksも含まれている(CNET Networksについては、正直なところ「他人ごとではない」のだが、一方昨年もFoxがMySpaceを買った際に、その余波から「InterActive Corp.が物色している」候補先の1つとして挙げられていた。その点を含めて考えると、「またか」という部分もある)。
このブログのなかで、「メディア系のプロパティ」を積極的に物色している企業としてAmazon.comの名が挙げられているのも興味深い(米CNET.comの稼ぎ頭といわれる製品レビューページとは、さぞかし相性がよいことだろう)。
このほか、Geff氏の『予言』のなかには、「大半の新聞社のサイトは、多かれ少なかれ有料制を導入することになる」「テレビネットワークは、オンラインでのコンテンツ配信やマネタイズの方法を見つけて行くに従って、その価値を増す」「証券会社のアナリストは、まっさきに高給取りのブロガーになるだろう(ただし、特定の分野についてかなり深くテーマを掘り下げられ、市場を動かすニュースを報じられたら・・・という条件付き)といったものもある。
こうした予言のうちでどれが現実になるかはよくわからない。それでも、ある意味で「脳を鍛える」ための良い刺激になるかと思う。
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