人類の歴史はコミュニケーションの進化の歴史でもある。20世紀以降、郵便は基本的なコミュニケーションの形態であったが、電子メールの発明により、2つのことが変化した。メールの送信費用が安くなり、瞬時に配信されるようになったのである。電子メールは、企業、個人の両方からコミュニケーション手段として支持された。
しかし、現在、電子メールは競争の激化に直面している。チャット、テキストメッセージ、「Twitter」、ソーシャルネットワーク、さらにはライフストリーミングツールにより、電子メールの利用が減少している。ここでは、何が起こっているのかを確認し、電子メールが危機に瀕しているのかどうかを見極めようと思う。
Twitterは、パブリックなブロードキャスト通信のギャップから、生み出された。電子メールでTwitterを行うのは、不可能ではないとしてもスマートではない。Twitterが普及したのは、関心がある人々をフォローできるだけでなく、自分の状態を投稿できるためだ。人々は、電子メールを送信する代わりに、Twitterから直接メッセージを送信している。
電子メールは仕事と受け取られ、一方Twitterは今もなお遊びと思われている。Twitterのメッセージは短く、気軽に利用されており、新しもの好きの人たちからキュートなテクノロジとして愛されている。人々は、受信ボックスがいっぱいだという「つぶやき」を送信している。
Twitterは、ユーザーインターフェースのおかげで、動作が軽い。またTwitterでは、スクロールできるメッセージのリストが表示される。
一方、電子メールでは、メッセージを選択し、開いて読まなければならない。伝統的に、電子メールクライアントには件名しか表示されないため、たとえ本文が短くてもクリックする必要がある。そして、これらのクリックを合計するとかなりの回数になる。
電子メールは役に立つ道具だ。Microsoft は、仕事をする人たちが万能ツールを欲しがっていることに気づいた。その結果、電子メールは拡張され、カレンダー、仕事リストなどの機能が追加された。
問題は、これらがすべて、受信トレイというブラックホールへの入り口である電子メールをベースにしていたことだ。短いメッセージと長いメッセージ、仕事の電子メールとプライベートな電子メール、仕事、予定がすべて重なり合ってしまう。
Outlookは整理、分類が可能な高機能なソフトウェアだが、ユーザーが使いこなさなければならない。多くの人々にとって、電子メールはたいへんな仕事であり、片付けが必要であるため厄介なものである。
「Gmail」のようなよりシンプルな電子メールクライアントでは、すべての問題を解決する道具ではなく、どうすればより良い電子メールクライアントになれるかに重点が置かれている。メッセージをまとめられるなどの革新的なテクノロジは、生産性に大きな影響を与えている。
Microsoftは何年もの間、ツールバーに多くのボタンを追加していたが、電子メールや生産性を中心にした技術革新に、より注力すべきだった。まず、神経言語プログラミング(NLP)、セマンティクスを活用して、人、イベント、場所などを抽出する。「これはミーティング、これはプロジェクト、これは友だち」といったユースケースを中心に電子メールを設計することで、いずれ受信トレイのちらかった状態を解消できるだろう。
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