この1年、M&Aの舞台ではさまざまな出来事が起こり、多くのWeb 2.0関連の有名企業が買収対象となった。際立った例をいくつか挙げると、YouTube、Photobucket、Feedburner、Last.fm、StumbleUponなどがある。
しかし、市場にはまだうまみのある魅力的な標的がいくつも残っている。これは、既存メディアにとっても一部のインターネット巨大企業にとっても、新しいウェブの世界での飛躍をもたらすものかもしれない。この記事では、まだ市場に残っている人気企業をいくつか見ていこう。
Digg:既存メディアは急速に地歩を失いつつある。ソーシャルニュースサイトとブログがこれまで以上のトラフィックと関心をひきつけつつあり、従来型メディアに代わるこうしたニュース源が人気を得ている。Diggはこの分野のパイオニアで、攻勢の先頭に立っている。Diggのよい競争相手だったRedditが2006年末に買収されたことも、この分野への関心の証左だ。Diggにはかなり高い値がつくだろうが、わたしの直感では、1億5000ドルを超えるような提案でも拒否するものと思われる。潜在的な買収企業は、Yahoo、NYTimes、MSN、あるいは自前のニュース部門にソーシャル関係のサービスを加えたいと思っているすべての大企業だ(例えば、ニュースに対するコミュニティによる投票など)。この分野の同様のほかの企業には、Newsvine、NowPublic、ShoutWireが含まれる。
注:Diggの買収を考えているすべての企業にとっては、今が買いどきかもしれない。私の考えでは、最近のHD-DVDに関する顛末がDiggの市場価値のかなり大きな部分を損なっている(少なくとも短期的には)。この気の毒な状況は、Diggの運営側とコミュニティの対立によって起きている。最終的に、同社はHD-DVDの鍵を含むコードをサイトに投稿することを許し、停止命令を処理することを余儀なくされた。潜在的な訴訟の可能性のあるコミュニティの反対は、同サイトの価値を確かにある程度小さくしたといえる。
Technorati:ブログが新しいメディアの地平を切り開こうとしているのは明らかだ。とはいえ、ユーザがブログを検索できなければ始まらない。Technoratiは現在ブログ検索エンジンのスタンダードだ。この人気の高い検索専門サイトは、今後もこの地位を保つだろう。競合は存在しない(ただしGoogle Blog Searchを除く)。これは他の大手検索エンジンには許せないことだろう。YahooとMSNは、Technoratiをポートフォリオに加えてコアとなる検索機能を強化したいと考えるかもしれない。
Netvibes:パーソナライズドホームページは単なる流行ではないし、長期的な展望は明るい。Netvibesは、情報の集約とページのカスタマイズが可能な、Ajaxを活用したスタートページだ。このようなサービスは、ポータルサイトやメディアサイトに格好の入り口を提供するだろう。このホームページ自体での収益化は難しいかもしれないが、これを顧客獲得の糸口にして拡張サービスで収益を得ることは可能だろう。潜在的な買収企業としては、この種の機能を持たない大手ポータル、例えばAbout.comやLycosなどがある。また、Google、Yahoo、MSNはすべて同種のサービスを提供しているが(Google IG、My Yahoo、Live)、Netvibesはより大きなユーザ基盤を提供し、サービスの向上にもつながるだろう。この分野の他の企業としては、PageflakesとProtopageが挙げられる。
SimplyHired:多くの情報源から投稿を集めて求職プロセスを支援する、仕事情報集約サービスだ。このサービスは、検索者の貴重な時間と労力を省いてくれる。従来の求職サイトには広さと深さ、多様性が足りなかった。この理由から、集約サイトならまとまった量のトラフィックと多彩な閲覧者を集めることができる。現在のポータルサイトやトラフィックの多いサイトで求職関連の部門を加えたいところは、SimplyHiredを検討するかもしれない。潜在的な買収者には、Googleや伝統的な出版社がある。この分野には、同社のほかIndeedとJobsterが参入している。
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