今のところ、ソーシャルネットワーキングの大半は、若者や最新のテクノロジを追い求める人たち向けに提供されている。
MySpace.comやFacebook、Xangaといった10代、20代の若者の好みに合わせたサイトが常に人気サイトの上位を占めている。今や米国人口の3人に2人がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用し、若者の約9割がインターネットにアクセスするようになっている。
携帯電話の世界では、18〜27歳の米国人の63%以上がテキストメッセージを送信している。テキストメッセージ送信数は、現在月あたり80億通だが、2008年には800億通に増大すると予想されている。
こうしたソーシャルネットワーキングの人気を利用して、最新の流行に敏感な人につながろうと、ソーシャルネットワーキング用ツールが続々と登場している。たとえば、DodgeballやMeetroなどのサービスを利用すると、友人や気の合いそうな人を特定の地理的範囲内で探し出し、携帯電話やノートPC上でテキストやインスタントメッセージなどをやり取りできる。
Placesiteでは、お気に入りのカフェでノートPCを開いてラテをすすりながら、自分と似たような趣味を持つ人を探し出すことができる。Nokia Sensor、Playtxt、Mamjamなどのツールを使用すると、バーやナイトクラブで遊んでいるときに、携帯電話でプロフィールやテキストメッセージを交換して、面識のない人とたわいのないおしゃべりを楽しむことができる。
似たようなサービスとしてJamboがある。こちらは、会議や空港などのアドホックな場で、あらかじめ保存済みのプロフィールに無線デバイスを使ってアクセスすることで、共通の興味を持つ人たちとつながることができる。
しかし、所得が低い、技術に触れる機会が少ない、または、年齢が高い人たち、つまり人数的には10代や20代よりもずっと大きな規模の集団を成す人たちを対象としたサービスに話が及ぶとどうだろう。SNSは、こうした階層に属する人たちや社会全体に対して有益なサービスを提供しているだろうか。現時点ではほとんど何も提示していない。控えめに言っても、これから着手するという段階だ。
優れたソーシャルネットワーキングツールがごく普通の人たちに使用されるようになり、社会財としてより広く普及すると、どのような社会が実現するのだろうか。
こういうものが考えられるだろう。
こうしたサービスをビジネスとして運営する際に明らかに障壁となるのは、携帯電話やPC、それらの機器や関連サービスを活用していない人たちや、利用料金を支払えない(とりわけ十分な公的サービスを受けていない)人たちがいるという現実だ。また、こうした技術に日常的に触れていない人たちにとっては、覚えることがありすぎて学習曲線が急になる。最新のSNSは、新技術に通じていて経済的にも恵まれた状況にある若者たちが、自分と同じような若者向けに設計したものだからだ。
こうした需給の偏った状況は変える必要がある。
最後に、ソーシャルネットワーカーとして成功するには、しゃれた電子ガジェットや最新のWebサービスなど必要ないのだと言っておきたい。相手の目を見て握手することから始めるほうがはるかによい自己紹介になるし、テキストメッセージなどよりもその人物のことをはるかに多く語ってくれる。
とは言うものの、ソーシャルネットワーキングツールをうまく使えば、他の人とつながる能力が大幅に向上することも確かだ。テクノロジで実現するソーシャルツールを構築するときには、ビジネスチャンスだけに目を向けるのではなく、より大きな社会財として維持することを念頭におこう。
ソーシャルネットワーキングの良さを最大限発揮して、広く社会に受け入れられるものにしよう。
著者紹介
Paul Lamb
テクノロジアクティビストであるPaul Lambは、Man On a Mission Consultingのプリンシパルを務める。また、非営利団体Streettech.orgの設立者でもある。
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