Googleがワシントンに政治活動の拠点を開設し、Jack Abramoffなど、共和党にコネがある有名なロビイストたちをいち早く採用している。
この話を聞いて私は最初、1週間早めのエイプリールフールのジョークかと思った。Googleは新しいビジネスモデルを開拓したものの、政治との関わり方についてはどうやら従来のやり方を踏襲するらしい。なぜそんな必要があるのだろうか。
Googleに言わせれば、すべてのインターネットユーザーに高品質かつ高速なウェブアクセス環境を提供できるようにするには、こうしたロビー活動も必要だと主張している。ComcastやTimeWarnerなどのインターネットサービスプロバイダー(ISP)がインターネットを介して情報を送信する行為に課金することができるとしたら、インターネットに関して持てる者と持たざる者との間に格差が生まれてしまうだろう。ネットの中立性が重要になるのはこのためである。この点に関して、GoogleがISP各社に反対しているのは良いことだ。
Googleは世界の情報を編成整理して、世界中の人たちがアクセスできるようにしたいと考えている。しかし、納得できないのは、それを実現するために必要な政治活動について、従来からの手法によらない新しいやり方を最初からあきらめてしまった点である。Googleは、Kストリートプロジェクトのルールを全面的に受け入れてしまったようだ(KストリートはワシントンDCにおいてシンクタンクやロビーストのオフィスが集まる通り)。共和党の議員らは十数年前から、Kストリートプロジェクトと呼ばれるやり方で、企業に対して共和党員のロビイストだけを雇い、共和党候補者だけに寄付を行うよう強制してきた。
Googleは、Podesta Mattoonというワシントンでも有数の影響力をもつロビイストの事務所と契約した。Podesta Mattoonは超党派として知られているが、おそらく、Newt Gingrich元下院議長の側近だったLauren MaddoxをGoogleの担当ロビイストとして起用することだろう。Googleは、最近起訴されたTom DeLay議員(テキサス州選出共和党)の側近を務めたこともあるStuart Royを広報担当として採用し、政治関連のPRと戦略を指揮させている。同社はまた、ワシントンD.C.にオフィスを構え、共和党の古株であるHarry W. Clarkを雇いもしている。Clarkによると、Googleはまもなく共和党議員とコネのある政治方面の責任者を雇うことになるという。
しかし、ことは人集めだけにはおさまらない。「私が話したGoogleの社員は皆、社員の政治献金が民主党側に大きく偏っていたと認識しており、それを修正したいと思っている」とClark はNew York Timesに語っている。Center for Responsive Politicsの調査によると、2001年以降、Googleの社員は議員候補、政党、政治活動委員会に合計36万1294ドルを献金しているが、そのうち1万ドルを除く残りすべては、民主党員またはその関係者への献金だという。
しかし、こうした軌道修正は正しい動きなのだろうか。政治との関わりについても、Google独自のビジネスモデルに見られるような、もっと革新的なやり方はないものだろうか。
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