「あなたはLinkedInのメンバーですか?」
最近こう聞かれることが多いのだが、実はこの質問は間違っている。このように質問する人はLinkedInがソーシャルネットワークだと思っているようだが、実は、LinkedInが行っているのは、ユーザーが主催するソーシャルネットワークのホスティングである。当然、それらのソーシャルネットワークは互いに重なることもある。正しい質問はこうだ。「あなたはLinkedIn上で管理されているJuan主催のソーシャルネットワークのメンバーですか?」
しかし、どういうわけか、この2つを混同している人が多い。それは、1つには、LinkedInが自社サービスに対してあいまいな態度をとっているからだ。つまり、LinkedInは、「わが社のサービスを利用して、あなた個人の知人ネットワーク内でメッセージをやり取りしてください」というだけでなく、「わが社のサービスに参加して、新しい知人を作ったり、価値ある人脈を築いたりしてください」というメッセージを暗黙のうちに発信してしまっている。
後者のほうが魅力的に聞こえるかもしれないが、実現するとなると難しい。あまりメンバーが増えすぎると、人間同士の結びつきの価値が下がる場合はなおさらだ。最終的に重要なのは、何人と知り合えたかではなく、それらの人間関係1つひとつがどれくらい深いかである。ソーシャルネットワークサービスには、LinkedInのように、効率良く価値のある相手と繋がることに重点を置くタイプと、FriendsterやOrkutのように、とにかくどんどん人と繋がっていくことに重点を置くタイプがある。後者は、よりオープンで自らをポータルサイトと呼ぶ。当然のことながら、なかには、勘違いして本来その人が利用すべきタイプのサービスと逆のタイプのサービスを利用してしまうユーザーがいて、状況はますます混乱している。
では、LinkedInはどのような機能を提供すべきなのだろうか。第1に、1人ひとりのユーザーを中心として、そこから広がるソーシャルネットワークの管理を支援する機能を提供すべきである。各ユーザーが、それぞれの環境(大部分は電子メール)内でネットワークを維持できるようにすべきだ。自分の友人、つまり自分が最も頻繁に会う人たちを、わざわざ第3者が提供する環境に預けてしまうのは不自然だ。
LinkedInは、各ユーザーがさまざまなネットワークに属しており、しかもそのネットワークの中心にいるのが常にそのユーザー自身であるということを認識する必要がある。グループがさまざまなネットワークに属しているのではなく、ユーザー1人ひとりがさまざまなネットワークに属しているのである。
典型的な実例を紹介しよう(名前は仮名である)。私は最近Billといっしょに昼食をとり、彼を私の別の友人であるWillに紹介することにした。Willは最近転職したばかりだったので、私はまだ彼の新しいメールアドレスをアドレス帳に登録していなかったが、最近彼と同席した取締役会議の招集メールに記載されたCCリストから彼の最新のメールアドレスを知ることができた(アドレス帳など必要ない)。
ちょっとしたことだが、これが実際のソーシャルネットワークである。小さなネットワークかもしれないが、本物だ。このネットワークは仕事上の公のものだが、世界中に公開するつもりはない。取締役会議のすべての出席者に友人になってくれるよう頼むつもりもない。第3者からの紹介依頼を取締役たちに回すつもりもない。しかし、WillにBillを紹介したように、個人的な知り合いで、「これは」と思う人物がいれば、両者を引き合わせることはあるかもしれない。つまり、その2人はあくまで私の基準を満たしているから会わせるのであって、未知の第3者の基準を満たしているからではない。
現実には、私のソーシャルネットワークの大部分は、何かのやり取りの中で生じる。つまり、別にソーシャルネットワークプラットフォームなど介さなくても、通常のメールのやり取りの中で生じている。私は、多くの知人といろいろな活動を通じて繋がっている。こうした繋がりに境目はない。
私は、自分の環境のなかで発生するさまざまなプロセスを処理してくれるようなツールの提供を、LinkedInには期待したい。たとえば、スケジュール帳に載っている誰かとアドレス帳に登録されている誰かを選んで、その2人を引き合わせるメール(必要に応じて編集できるもの)を作成するプロセスに対応するツールなどだ。このメールはもちろん、インスタントメッセージ(IM)でもかまわない。メッセージを受け取った人が、IMの着席状況を知らせる機能の簡易版のようなもので自分の空き時間を公開するツールがあると便利かもしれない。
こうしたことは、メールの基本機能であるCC:フィールドを使ってしょっちゅう行っている。私が求めるソーシャルネットワークツールというのは、私が行った紹介の記録を自動的に作成し、あとでその2人のどちらかの名前を、たとえば『intro』と名づけられたプロセスに渡すと、2人を引き合わせたメールを検索してくれるというものだ。
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