レンタルサーバビジネスの成長は、いかにユーザーのニーズを汲み取り、スピーディーにサービスに取り込んでいけるかという点が大きな要因のひとつと言えるだろう。
今回は、さくらインターネットの代表取締役社長である田中邦裕氏(田中社長)と、CMSを使ってウェブサイトを制作、構築するサービスを手がけるゴヤット合同会社の代表である吉田憲人氏、システム設計からアプリケーションの開発、ITコンサルティングまでを手がけるゴーガの代表取締役である小山文彦氏に集まってもらい、さくらインターネットのサービスや戦略、ひいてはレンタルサーバビジネスについて語り合っていただいた。この鼎談から生まれる新サービスがあるかもしれない。
なお、吉田氏と小山氏には、新サービスの「さくらのマネージドサーバ Atom プラン」を試用してもらい、すでにそのレポートも掲載している。
田中社長:簡単に言うと、まずサーバが低価格で専有できることです。たとえば共有レンタルサーバだと、他のユーザーの利用の仕方によって「503エラー」(サーバの一時的な過負荷などにより、サーバが要求に対して処理できない状態)になる可能性があります。サーバ専有であれば、他者に影響されずに負荷はお客様自身だけの問題になるので、自由度に大きく差が出ます。
また、当社のサービスラインナップにおいて専用サーバと共有サーバは上下関係になっています。まず共有サーバから使い始め、卒業した人が専用サーバに移行していくことを想定していて、実際にお客様もそういうイメージを持っていらっしゃる方が多いのです。
こうした中で、今回の新サービスであるマネージドサーバは、他者から影響を受けないという専用サーバのメリットと、サーバ設定や管理が比較的簡単という共有サーバのメリットをうまく併せ“いいとこどり”をしたサービスなのです。
吉田氏:利用したことがある共有サーバの「さくらのレンタルサーバ」と同じような管理画面なので、僕は非常に接しやすかったですね。要するに慣れた操作環境だったということです。さくらのレンタルサーバサービスを使ったことのある人なら戸惑うことはないでしょう。使ってみて、機能面でもっともよかった点は、データベースを無制限に設定できることでした。
田中社長:もちろんです。これまで共有サーバと専用サーバの間には垣根がありました。自分ですべてを管理する必要のない共有サーバに対して、専用サーバは利用者自らがセキュリティの対策をしたり、システム動向を監視したりという手間があります。そうした手間をかけたくないお客様に、専用サーバのメリットを提供したかったのです。
田中社長:ウェブサイトの制作を目的とされているお客様ですね。さくらのレンタルサーバは、10年前から自由に使えるウェブ環境ということをコンセプトにしてきました。この自由に使えるということのひとつに、シェルが使えるとか、コマンドが使えるとかいった、技術的な要素が含まれていました。
ですが、最近はあくまでも「ウェブサイトを公開する」という明確な目的の方が増えてきました。昔は、レンタルサーバ自体を使い倒すことを目的にしたり、そうした行為にモチベーションを感じられる方が多かったのですが、今では「情報を発信する」という目的に集中したい人が増えて、そういう人たちは、技術面に関してはあまり手間をかけたくないと思っていらっしゃいます。
これまで専用サーバを利用する方というのは、自分でセキュリティの対策をしたり、サーバがダウンしたら自分で復旧したり、自分でサーバにパッチを適用したりするなど、こうした管理に伴う手間をいとわない方が多かったんです。手間をいとわない人と、かけたくない人の差は、スキルの違いではなくて、あくまでも目的が違うのです。
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