最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

スタートアップ企業やアプリ開発の現場で威力--「さくらのマネージドサーバ」をネットビジネス事業者が評価

さくらインターネットの新サービス「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」を、インターネットビジネスを展開している2人に、実際に使ってみてレポートしていただいた。果たして、この新プランの特徴は?最適な使い方は?

素早い導入が期待できる新視点のプラン

 今回、CNET Japanさんの紹介で、さくらインターネットの新サービスとなる「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」をテストできることになった。

 システム設計からアプリケーションの開発、ITコンサルティングまでを幅広く手がける株式会社ゴーガの経営者として、またアプリケーション開発現場などの立場から見ていこう。

 簡単にいうと、「さくらのレンタルサーバ」同様にコントロールパネルを利用できる専用サーバ(root権限はない)で、CPUにAtomを利用する分、比較的安い料金で提供されている、新しい視点のサービスだ。さくらのレンタルサーバと同様に入金さえすれば、さほど時間がかからず利用開始できる。クレジットカードを使って当日から利用するということも可能なため、クラウドサービスに近い素早い導入が期待できる。

 すぐに利用開始できる専用サーバというのは結構画期的だし、エンジニアにとってもサーバの設定はできるだけ省力化したい意向があるため、SSHとコントロールパネルが併用できる「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」は、いろんな可能性を秘めたサービスかもしれない。

静的でも動的でも合理的な専用サーバの基本性能

 それでは、基本性能を見ていこう。まずサーバOSを確認したところ、「FreeBSD 7.1-RELEASE-p9 i386」が導入されていた。CPUにはIntel Atomを採用している。ウェブサイトの運用では、CPUの負荷が比較的少ない場合が多い。そのため、データセンター各社は共用レンタルサーバを運営したり、仮想専用サーバ(VPS)によってCPU性能の有効活用を進めている。ウェブサイトが静的で、特に計算処理を求めないのであれば、本プランのようにAtomで専用サーバを構築するというのは合理化を期待できる面白い試みである。

 一方でメモリを2GB搭載しているのは、MySQLなどのデータベースを多用する最近の動的なウェブサイト、つまりウェブアプリケーションで効果を発揮する。HDD180GBというのは、ウェブサイトがなにか特別に多くのデータを蓄積して提供するものでなければ十分であろう。RAID1のミラーリングがついているのも、データ保管上安全性が高い。これらが信頼のおけるデータセンターで管理されているので、よほどのことがない限り、100%に近い可用性が得られると考えられる。

さくらのレンタルサーバの強み+αの魅力

 次に、共有SSLはレンタルサーバではわりと一般的な機能だが、専用サーバで共有SSLが用意されているケースは珍しいのではないだろうか。社内システムなどの利用ではSSLが強く求められるが、わざわざ独自ドメインで用意する必要もないので、合理的な選択といえる。もし専用でSSLサーバ証明書を用意しようと思ったら、年間に数万円の出費になる。

 SSLとWebDAV(ファイル共有機能)のどちらも、インストール経験が少ないとなかなか面倒な作業だが、WebDAV over SSLまでも、すぐに使えるというのは、環境構築の手間が省けて助かるというもの。さくらのレンタルサーバの強みをそのまま活かしていると言える。

 もちろん、独自のSSLを利用することもでき、独自SSLを使う場合はコントロールパネルで秘密鍵生成の部分から用意されており、フローがわかりやすくて、これはこれで便利。

 さらに、これまでのさくらのレンタルサーバにはなくて、さくらのマネージドサーバに新しく用意されているものとして、モニタリングツールがある。専用サーバなので、自由にソフトウェアがインストールできる環境であるが、どのソフトウェアをインストールするとどれくらいの負荷になるかが見られるのはありがたい。モニタリングツールの情報をもとに、今後ソーシャルアプリでどの程度のユーザーをさばけるかといった情報が充実してくると、導入時のサーバ検討がスムーズになると思う。

コントロールパネルから独自SSLを利用
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新しく用意されたモニタリングツールで負荷を把握
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 料金面では、初期費用の2万5000円は決して安くないが、専用サーバなら仕方ないところか。月額7800円はメモリ2GBの専用サーバとしては割安に感じる。「Amazon EC2」のスモールインスタンスと同程度の料金で、そのうえサーバは国内のさくらインターネットが運営するデータセンターに設置されているため、海外のサーバにあるサービスより早いレスポンスが得られるなら、一考の余地はありそうだ。

 さくらインターネットのコントロールパネルは、決して見やすいとも使いやすいともいいにくいが、コストパフォーマンスの良さから使ったことがある人は多いはず。このコントロールパネルに慣れている場合は、さくらのレンタルサーバの上位モデルが追加されたと考えるのが一番いいだろう。基本機能が強化されて、共有SSLとWebDAV、モニタリングツールに対応しており、データベースが無制限に使えるといった具合だ。

 ただ、さくらのレンタルサーバには、上位プランへ移行する仕組みはなく、利用者が再度上位プランで環境を整えなくてはならない。これはさくらのマネージドサーバでも同じで、せめて各種設定を一括で書き出してくれる機能があれば作業しやすいのではないだろうか。

 また、さくらのレンタルサーバやさくらのマネージドサーバで利用されているFreeBSD7.1を利用できる専用サーバもないので、今後さくらのマネージドサーバの上位モデルでその様な環境が徐々に整備されてくると、より安心して選択できるのではないだろうか。

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