最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

専用サーバでも垣根が低く費用対効果を発揮--「さくらのマネージドサーバ」をサイト制作事業者が評価

さくらインターネットの新サービス「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」を、インターネットビジネスを展開している2人に、実際に使ってみてレポートしていただいた。果たして、この新プランの特徴は?最適な使い方は?

ウェブ制作・構築事業者としての視点

 「さくらのマネージドサーバ Atomプラン」を実際にテストする機会を得た。ゴヤット合同会社は、ライセンスフリーのCMSシステムソフト「Joomla CMS」に特化したウェブマーケティングシステムで、ウェブサイトを制作、構築するサービスを提供しており、そのサービス事業者の立場からこの新プランをレビューしたい。

 レビューするにあたり、Atom 330 Dual-Core 1.6GHzのサーバがどれだけオープンソースCMSのJoomlaで使えるかに興味があった。専用サーバなので、Joomla CMSを好きなだけ導入していろいろと試せる点が魅力だ。

 問題は、Joomla CMSのシステムを何セットまで導入しても大丈夫かだ。また、システムのインストールがいくつかできたとして、実際のサイト運用面でどれだけの負荷に耐えられるのだろうか。Joomla CMS導入サービスを専門に行なっている会社にとって、そこが一番気がかりである。

 今回のレビューでは、長期間Joomla CMSサイトを複数運用して負荷テストができないためテスト使用での感触と推測でしか情報を提供できないが、今後、そういった追及もしていく予定である。

ホームページ制作会社にとって渡りに舟

 一体、Atom 330のパワーは他のCPUのサーバと比較してどうなのか。そんな疑問でウェブ検索をしてみた。そうしたら、比較データを提供するウェブページ(このページは元データのワードファイルをGoogleがHTMLに変換したページ)にたどり着いた。このベンチマークは、STG Groupが調査し、SingleHopが確認した「Pentium 4 2.8GHz 1GB Ramの専用サーバ」と、「Atom 330 1.6GHz 2GB Ramの専用サーバ」を比較したデータ結果である。すべてのテストは、ApacheやMySQLで稼働している通常のウェブサイトを意識して行われた。評価は、MySQL、Apache、Disk Read/Writeのパフォーマンスにある。

 結論から言ってPentium 4 2.8GHz 1GB Ramの専用サーバと比較するならば、Atom 330 1.6GHz 2GB Ramの専用サーバの方が優れているということだ。

 しかし、時代は、Dual-Core CPUの時代でPentium 4のサーバの時代では無くなっている。その点を考えるとAtom 330のサーバがどれだけ他のサーバと比較してメリットが有るかどうかはわからない。

 下記の料金と機能だけで見ると、さくらのマネージドサーバ Atomプランはすごく魅力的である。データベースをあまり使わないホームページ制作会社であれば、渡りに舟のサービスだろう。

さくらのマネージドサーバ Atomプランの主な機能と料金
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 Joomla CMSを専門でウェブサイトを制作、構築するサービスを提供するゴヤットとしては、直ぐにでも飛び付きたいぐらいなのだが、PHPとMySQLデータベースで稼働するJoomla CMSが何システムまで満足なスピードで反応できるかが頭から離れない。

CMSを実際にインストールしてテスト

 今回のAtom 330サーバでは、Joomla CMSを4システム導入し、インターネットに公開した。実用面の負荷テストまでは今回できないため、Joomla CMSの反応スピードだけを比べてみた。

 比較したサイトとサーバは、「さくらのレンタルサーバ ビジネスプロ」で動いているJoomla CMSサイトjoomlajp.org だ。具体的には、以下の2つ。

 このビジネスプロのレンタルサーバでは、8システムのJoomla CMSを動かしている。8サイトは、実際の法人ウェブサイトである。それなりのアクセスで負荷がかかっている。

 Atom 330の専用サーバとさくらのレンタルサーバ ビジネスプロのスペックの主な違いは、以下のとおり。

2つのサービスの主な違い
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 ここで、サーバの反応スピードをスピード測定サービスを使って見てみよう。専用サーバであるさくらのマネージドサーバ Atomプラン「goyat.jpn.org」と、共用サーバであるさくらのレンタルサーバ ビジネスプロ「www.joomlajp.org」の2つだ。また、参考までに日本で稼働する「Joomla! じゃぱん」(joomla.jp)と、米国で稼働する「Joomla!」(www.joomla.org)も試した。

2つのサーバサービスの反応速度を比較
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 1KBに対する平均スピードは、Atomプラン(0.07秒)とビジネスプロ(0.05秒)であまり差がない。www.joomla.orgのスピードが極端に早いのは、スピード測定サービスサイトが米国にあるからだ。サイトまでの距離で差が出ていると思われる。

 この結果で考慮すべきことは、ビジネスプロで動いているJoomla CMSサイトは共用サーバであるため、当社ゴヤットが管理するサイト(8サイト)に加えて、その他のユーザーサイトが稼働していることである。Atomプランでは、負荷が殆どない状態である。

 ただ、トップページのロードが完了するまでの時間は2秒ぐらいであるので、それほど危惧する点ではないだろう。

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