インターネット環境の普及により、PC・携帯電話などの使用は、エンドユーザー(以下ユーザー)の生活の一部に完全に組み込まれたと思います。その度合いが大きくなればなるほど、インターネット広告を含める広告市場の成長に寄与することは言うまでもありません。
またインターネット環境の中では、極めてコンテンツと広告が近しい目線で見られるため、その広告を広告枠としてユーザーに認められるか否か?も市場の成長にとって重要な要素になると思います。
ここで改めて疑問があります。
インターネット上では、広告とわかっていてもユーザーは嫌がらないのかどうかです。つまり「ユーザーは必要であれば広告でも積極的に肯定的にクリックするのかどうか?」です。このことに関して、Ad Innovatorでは以下のように言っています(「カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ:四家正紀」より抜粋)。
高額な企業名や商品名の検索連動広告が、その企業や商品サイトへどちらにせよ行くことを前提に検索している人たちに向けて出されており、その費用が企業の検索広告費の半分に上ると、マイクロソフト傘下となったAtlasが調査結果を発表した。この調査はGoogle、Yahoo!、Microsoftでの30の検索広告キャンペーンで120,000人のユーザーを対象にしたもので、クリックした約半分がすでにその企業・商品サイトを訪れた人たちからのもので、約60%が企業・商品名をキーワードにした広告からであるという。
(中略)そもそも「その企業や商品サイトへどちらにせよ行くことを前提に検索している人たち」だったら広告ではなく検索結果のほうをクリックしているはずで、それだと広告費は発生しません。わざわざ広告のほうをクリックするのは、やはりその広告のクリエイティブが提示しているコンテキストに引っ張られているのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
ユーザーに広告が広告枠として認識されると、一般的にCTR(クリックスルーレート)が下がることは推測つきますが、「広告を出しているのだなぁ」とユーザーより認識されることは良いことであると私は考えており、その広告主の商材・サービスを求める人に安心感を与えると思うのです。テレビコマーシャルにしても、100%広告枠と認識され、その市場を成長させてきたからです。広告の位置、広告の掲載理由は特に重要と思います。具体的に言うと「もしかしてこれって広告なの?」「なぜこんなところに広告がでているの?」という疑念を払拭させることが必要だと思うのです。
インターネット広告は、他媒体に比して、掲載場所、掲載理由の自由度がある故に、その市場、様々な形態の媒体社が成長してきました。しかしさらなる飛躍のためには、ユーザーの信用・信頼を向上させなければなりません。厳格に規格化される必要はないとは思いますが、業界あげて「広告として認められる」努力を一層推進していきたいと思います。
大手広告代理店退職後、財団法人社会経済生産性本部において経営コンサルタントの認定を受け、その後1999年9月株式会社オプト入社。2001年1月より同社代表取締役COO。2006年1月より同社代表取締役CEO。慶應義塾大学経済学部卒、産能大学大学院経営情報学研究科(MBA課程)卒、中小企業診断士。デジタルハリウッド大学院教授(「インターネットマーケティング」担当)。「サイバーコミュニティを使った『ニーズ調査』の有効性に関する比較研究」(経営情報学会2000年、共同研究)、「インターネット広告による売上革新」(同文舘出版2006年、共著)等学会・講演活動多数。
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