毎年数百とも数千とも言われるメーカーが現れては消えていく中国のトンデモケータイ市場。昨年の年間生産台数総計は1億台を越しているというデータもあり、1社が1万台生産したとすればまさしく1000社以上が存在する計算だ。そういや実は最近知ったことなのだが、筆者の知り合いの友人の会社の人の知り合いの親族がケータイ工場をやっている、らしい(笑)。まぁそれくらい簡単にケータイが作れちゃうってのが今の中国の恐ろしいところだ。
これだけの数のトンデモケータイが中国国内に流通していれば販売先もさまざま。みなさんが日本でケータイを買うときはケータイショップや家電量販店に行くだろうが、中国では時にはトンデモナイところでケータイが売られていることもある。駅や空港の売店や、雑貨屋の店先にトンデモケータイが並べられているのも一般的だ。地方の中小都市なら道端の露店でケータイが売られているのはあたりまえ。そして特にこれといって特徴のないトンデモケータイは、どこでも売れずに売れ残り、各地を転々としながら最後は処分価格で投売りされる運命が待っている。
そんな「投売りされても誰も見向きもしないケータイ」、筆者はついつい買ってしまうことがよくある。だって値段聞いたら1000円とか信じられないような値段で売っていることがあるんだもん!そこまで激安だったら買わないほうが無理ってもの。時には「何台あるの?5台?じゃぁまとめて全部ね。でも4000円にしてよね」なんてちょっと強引な買い方をすることもある(笑)。もちろんそれでも店は儲かるようで、これが現地のプロのバイヤーなら「5台で2000円だ。それ以上ビタ一文払わねーぞ」と強気の値引き交渉をするようだ。ま、そんな方々のおかげで売れ残りケータイはどんどん安く転売されていくのかもしれない。
てなことで今回は「激安だったのでついつい買っちゃったトンデモケータイ」を2機種紹介しよう。この2つ、見た目は大きなインパクトは無いもののどことなく独特の味を備えているのだ。また「おぉっ!」と思える機能も搭載している。売れ残りだけど買ってみたら意外と悪くなかった、そんな製品も中にはあるのね。でもフツーの値段だったら買わなかっただろうなぁ。
まずはパッケージのイラストが特徴的な「閃星 V95」を紹介しよう。メーカー名の最初の漢字が「閃」なのかどうかも不明という、例によってどこが作ったか不明な製品だ。これは香港のAV機器やケータイのジャンク屋のショーケースで見つけたもの。このパッケージを見たときは「何かの広告のPOPかな」と思ったくらい。だっていくらなんでもこんな情けないイラストがケータイのパッケージとは思わないでしょ。
右側の女性がヘッドフォンをしていることから音楽に強い、ということをアピールしているのかもしれない。イラストのケータイも背面にスピーカーがたくさん備わっているようだ。でも左の男性がなんでメーカー名の看板を持っているのか意味不明。こんなパッケージでいったいどんな消費者ターゲットに売ろうとしたのだろうか。イメージは「ナウなヤング」?──って、いくら中国でもそれは死語のような気がする(笑)。「ケータイは工場で作った。でもパッケージがないから適当なものを作って詰めた」そんな安易な考えで出荷されちゃったんだろうなぁ。
店員さん曰く「売れ残りだからいくらでもいいよ」。ポケットの中を見るとお札と小銭で150香港ドルほどがあった。「これでいい?」とお金を出すと店員さんは数えもせず「お買い上げありがとー」。なんと投売りとはいえ1800円で買えてしまったのであった。ここまで安いともう動かなくてもいいような気もしてしまう。そういや買ったときに動作チェックするのもすっかり忘れていた。
てなことでおよそケータイらしからぬパッケージを開けてみると、本体もアクセサリもむき出しで詰め込まれていた。まぁ値段考えたらそれくらいどうってことないことだ。また入っている説明書、こちらの表や裏に書いてある能書きはかなりまとも。なんでこれをそのままパッケージにしなかったんだろうねぇ。やっぱりナウなヤングに売りたかったんだろうか?(笑)
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