成長力の鈍さから厳しい評価を受けるミクシィ--新サービス構想も市場に響かず

 ミクシィは株式市場的に“終わった”のか−−一部の市場関係者の間で、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)運営最大手企業の業績動向が話題となっている。株価は5月13日、12日取引終了後の2010年3月期決算発表を受けて急落し、2010年6月以来の50万円割れとなった。その後も続落基調が続き、連日で安値を更新している。

 2011年3月期業績計画は、連結売上高が前期比27.6%増の173億5000万円、営業利益は同0.6%増の27億7000万円、経常利益は同3.2%増の27億6000万円、純利益は同6.2%増の13億9000万円。売上高こそ高い伸びを計画するものの、期待された利益の急回復は株式市場の期待を大きく裏切る鈍さとなった。「mixiアプリ」投入によって成長力を取り戻すと期待されていただけに、投資家の失望感は多大。広告の伸びが鈍化し、開発費など先行投資負担が利益を圧迫する構図は結局、2010年3月期と同様だ。

 2010年3月期の実績は売上高が前期比12.8%増の136億円、営業利益が同27.0%減の27億5200万円、経常利益は同29.4%減の26億7500万円、最終利益は同32.7%減の13億900万円。

 ミクシィは株式公開後、しばらくは高成長銘柄の象徴のように扱われてきた。しかし、広告収入に依存した収益モデルが崩れ、加えてほかのSNSが課金収入にシフトする流れにも乗り遅れ、成長力を失ってしまった。今後、mixiアプリに次ぐ新サービスを投入する構想も明らかにしているが、株式市場の期待値を表してか、株価の反応はほぼ皆無となっている。

 今回の決算発表シーズン、東京市場はいわゆる「ギリシャ・ショック」に見舞われており、前期実績や今期予想の業績動向よりも、米国株式市場や為替市場の動向が、より注目されていた。海外要因が懸念される中でネット株は国内で稼ぐ内需株がほとんど。選別的に資金を集める展開も期待されたが、結局は輸出株などと同様に売られてしまった。ミクシィ株は全般相場の軟調地合いに業績面への失望感も相まって投資家の見切り売りを浴びてしまっているようだ。

 「GREE」を運営するグリーや「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーは好業績を継続し、株価も全般相場を上回るパフォーマンスとなっている。その点、同じSNS大手であるミクシィは業績面、株価ともに弱さが目立って久しい。再成長軌道に入らないミクシィは、株式市場の見方としては厳しい立場にあるようだ。

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