ヤフーの好決算発表をきっかけに、ネット株への市場の見方が変わりつつある。言わずと知れた日本最大のインターネットメディアに浮上した業績底打ち感がセクター全般に買い安心感を与えている。
ヤフーが1月27日に発表した2010年3月期第3四半期(2009年4〜12月)決算は、連結売上高が前期比4%増の2066億2000万円、経常利益は同69%増の1046億6300万円だった。2009年10〜12月に限って見れば、営業利益は364億円。会社側の示していた予想レンジ338億〜359億円を超過している。
中でも広告事業の底打ち、反発基調が鮮明で、10〜12月の事業営業利益は前年同期比11.5%増。金融をはじめ、幅広い業種から広告出稿意欲の回復が確認されている。広告効果の高いブランドパネル広告の売上高は、大幅に伸びて四半期ベースで過去最高を記録。会社側でも2009年4〜6月を大底とした広告売上高の回復基調に自信を持っているようだ。
このほか、ショッピング事業でも減少幅が縮小しており、USENから「GyaO」を取得してコンテンツを強化した動画配信事業も2009年12月に短月黒字浮上。実りの多い決算となった。決算に対する証券アナリストのコメントも好意的なものがほとんどだった。ヤフーは四半期毎に次四半期の業績計画を開示するスタイルであり、このほど開示したのは2010年3月期通期の業績予想。
今回もレンジ予想で、売上高は2759億2000万〜2793億2000万円、経常利益は1402億6300万〜1426億6300万円で、レンジ上限の増収利益は前期比5.1%、同増益率は7.3%となっている。第2四半期実績が予想レンジを上回って通過したこと、懸案事項だった広告売上高に復調色が強まっていることを考慮すれば、今回も予想レンジの上ぶれ着地が期待される状況だ。
ヤフー株はこの好決算を受けた1月28日の取引で大幅高し、株価チャート上の節目となっていた2009年7月の高値を更新。上昇ピッチを加速させる動きとなってきている。ヤフーの広告売上高復調を受けて、ほかのネットメディア企業やネット広告代理を手掛ける企業の業績にも期待感が高まっている。同日には楽天も百度と合弁会社を設立して中国市場に本格進出することを発表したほか、サイバーエージェントも市場予想を大幅に上回る決算を発表した。中核銘柄の相次ぐ好材料浮上を受け、今後はネット株全般を見直す動きも出てきそうだ。
2月4日には飲食店情報提供サイト運営のぐるなび、価格比較サイト運営のカカクコム、携帯電話向けコンテンツ配信と動画投稿サイト「ニコニコ動画」のドワンゴが決算を発表予定。このほかにもミクシィは2月5日、年末商戦の好調が伝わっている楽天は2月12日に決算発表予定だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス