スタートトゥディ、株式分割後も右肩上がりの株価上昇--ブランド取り込みも順調

 アパレル専門のインターネット通信販売サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの株価が右肩上がりの上昇を続けている。株式分割後に付けた3月11日の安値5万6600円から9月11日には19万3700円まで、3倍以上の上昇となっている。株式市場全般が不安定な動きとなってきた9月下旬以降も高値圏で堅調な推移を続けている。

 スタートトゥデイの株価上昇を支えるのは快走を続ける業績面への高い評価。2010年3月期は連結売上高で前期比52.4%増の163億円、経常利益で同40.9%増の31億3000万円を計画している。景気悪化を背景に消費は冷え込んでおり、「物が売れない時代」と言われているが、スタートトゥデイに限っては別の話のようだ。

 7月末に開示している4〜6月の業績は、売上高が前期比25.5%増の30億7100万円、経常利益は同5%増の5億3400万円。通期計画と比較した売上高の進捗率は18.8%、経常利益も17%と低いが、これはアパレル特有の季節要因で、下期に単価の高い冬物商材が多く売れるため。

 また、スタートトゥデイの根本的な競争力にもなっている有力ブランドの取り込みが順調に進んでいることで、売り上げ規模は月を追って拡大を続けている。月次売上高は4月に前年同月比31.1%増だったが、8月には同50.6%増となり、このほど開示した9月は同55.8%増と今期最大の伸びを示している。商品調達強化や送料無料化といった施策が月次売上高に表面化してきている。4〜6月の実績では低進捗率が懸念されたが、足元の月次売上高の推移から推測するに計画達成、また超過達成への期待も高まってきているようだ。

 消費不況が叫ばれる中でも、スタートトゥデイが主軸を置く流行に敏感な若者向けのアパレル販売は景気動向の影響を受けにくい。また、Eコマースは消費の巣篭もり化という流れを追い風としている面もある。国内有力ブランドも不況の影響に苦しんでおり、Eコマースに活路を見出す傾向が顕著化。スタートトゥデイは国内最大規模のアパレル専門ネット通販企業として、その受け皿にもなっている。

 自社サイトでのEコマースの流通総額が順調に拡大しているほか、新たに取り組むEコマースサイト支援事業も本格化。ZOZOTOWNで培ったノウハウを武器に、ネット化が遅れていた有力アパレルブランドを取り込んでいる。セレクトショップ運営で有力なユナイテッドアローズもスタートトゥデイの顧客の1社だ。

 スタートトゥデイ株は3月安値以降、順調な下値切り上げを続けている稀有な銘柄。株価チャート上は過去3カ月間の買い付け平均価格である75日移動平均線を上回って推移しており、これが下値支持線となっている。9月11日に19万3700円の高値を付けて以降、目先的には一服感が浮上しているが、月を追って業績計画には上方修正期待が高まっており、下値への懸念は乏しい状況だ。

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