ここにきて株式相場が全般にやや調整基調となっているなかで、IT・ソフト関連銘柄の強さが目立っている。その中でも特にインターネット広告関連銘柄の動きに注目が集まっている。
例えばネット広告代理店のオプトやサイバーエージェント、メディアレップ(インターネット上の広告代理店のこと。ウェブサイトやメールマガジンへの広告掲載を希望する個人・団体と出稿希望者を仲介する)のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムなどが相次いで年初来高値を更新している。ネット広告関連企業には業績好調で、将来的な成長性も期待できることが評価されているようだ。
さらに、ネット広告関連企業は新興市場に上昇している銘柄が多く、その市場の中では比較的時価総額が大きい主力級銘柄であり、活況相場に対する相対的な株価面での出遅れ感がかなり意識されているようだ。
国内ネット関連広告の2005年度の市場規模は、電通の予測した2800億円(2004年度は1800億円)を若干上回るペースで成長をみせている。「飲料品や自動車などのナショナルクライアントがネット広告に対して積極的になってきているのが要因」(ネット広告専業代理店)といい、バナーなど従来型広告の単価が大幅に上昇をみせている。広告代理店やメディアレップが恩恵を受けている一方で、中小クライアントも検索エンジン最適化など、比較的単価の低いものから新たな取り組み始めている。この事業を専門とするアウンコンサルティングの将来性が指摘されるほか、同事業を手掛けるオプトやサイバー・コミュニケーションズなどが大きく売上高を伸ばしている。
これまで個人向けで飛躍してきたブログは、アフィリエイト(成果報酬型広告)の出稿が伸びているほか、商品プロモーションなど企業向けでの活用も増える見通しにある。有線放送の最大手であるUSENの手掛けるGyaOなど、動画コンテンツ向け広告も好調に推移しており、今後の規模拡大に期待が寄せらている。
こうした、ネット広告関連業界にとってもう1つ大きな援軍が到来している。12月14日に12月の日銀短観が発表された。この中で大企業製造業DIが事前市場予想を多少下回ったが、おおむね好調な内容。中小企業全産業DIの改善幅が4ポイントとなり、回復に広がりが出てきたと見られる。
また、2005年度の設備投資計画をみると全規模で9.1%増(2.2%の上方修正)。この中で、金融機関のソフトウェア投資が27.8%増(9.8%の上方修正)と大幅増になり、金融機関向けソフトに強みを持つ日本システムディベロップメントや金融システムを手掛けるシンプレクス・テクノロジー、独立系ソフト開発のDTSなどが当日の東証1部値上がり率上位に名を連ねた。
メリルリンチ日本証券では、12月14日付のリポートで情報サービス関連株に注目とコメント。同証券は、大企業情報サービスのDIは2005年9月から回復傾向をたどり、金融機関はシステム障害や儲け過ぎ批判への事前対策として、設備投資を増やすと予想しており、設備投資のリード役が大企業製造業から非製造業や中小企業へシフトする中で、ITサービス業界が注目されるとしている。
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