出来高30億株超、売買代金でも3兆円を突破するという記録的な大商いとなった9月9日の東証1部市場では、長い間物色のカヤの外に置かれ“最後の出遅れセクター”とまで揶揄(やゆ)されていた総合電機セクターが、久しぶりに買い進められる活況な展開となった。
なかでも富士通が一時、前日比25円高(3.67%高)の707円まで上昇して、株価は2月28日に付けた年初来最高値690円を約半年ぶりに更新し、2004年8月2日以来およそ13カ月ぶりとなる700円台も回復してきた。このほかにも、日立製作所や東芝、三菱電機、NEC、富士通など、総合電機株がそろって買い進まれ上昇した。これまで、日経平均株価が年初来高値を更新するなかにあっても物色の圏外にあったこの総合電機セクターへの買いは、果たして継続して本格化するのかを探った。
準大手証券の投資情報部では「円相場が1ドル=110円台でほぼ落ち着いた値動きが続いていることに加えて、ここにきて全体相場の上昇をけん引してきた大手鉄鋼株や銀行株などの内需系の銘柄群に高値警戒感が強まってきたことから、富士通など比較的業績が好調な主力ハイテクの総合電機株に押し目買いが入ってきたのではないか」としている。
また、IT関連の在庫調整に一巡感が台頭する一方で、リストラも着実に進展。9月中間決算に向けては「予想外に改善の余地がある」(外国証券のアナリスト)といった期待を含めた見方も浮上している。米国現地時間9月8日に発表された半導体大手Intelの2005年7〜9月期の中間業績報告会は意外感の乏しい内容に終わったものの、通信系半導体大手のTexas Instrumentsなどは収益予想を上方修正し、株価も時間外取引で上昇したことも日本のハイテク株上昇への支援材料となったようだ。このうえで、タイミングを合わせるかのように、日立や東芝などがシステムLSI(大規模集積回路)の共同生産会社を設立すると報じられており、これもプラス材料と受け止められた。
さらに、市場が急成長しているデジタル携帯音楽プレーヤーの“2強”である米Apple Computerとソニーが9月8日、同時に新商品を発表したことも話題となった。Appleを追撃するソニーは「ウォークマンA」シリーズ5機種を11月19日に発売する。再生中の歌手と近いジャンルの歌手を検索できる機能や、よく聴く曲や発売年が同じ曲だけを選んで聴ける機能も付けたのが特徴となっている。
一部で“負け組み”の烙印さえ押されてきたこのソニーの最近の株価動向をみると、9月に入るのを待っていたかのようにほぼ一本調子の上昇をみせている。8月31日の安値3670円だった株価が、その後連日のように上昇を続けて先週末の9月9日には一時、3990円と9%近く上昇し、4000円の大台回復まであと一歩と迫ってきた。7月15日につけた高値4010円を突破してくれば、株価回復に拍車がかかる可能性も出てきている。
中堅証券のエクイティ本部長は「ここで、これまで大きく出遅れていた総合電機などの主力ハイテク銘柄の水準訂正が本格化してくれば、全体相場の循環物色が完成したことにもなるため、今後の全体相場の上昇第2ラウンドにつながる可能性が出てきた」と強気の姿勢をみせている。
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