第3の薄型テレビ「リアプロジェクション」は日本で普及するのか

 日本ではこれまでカヤの外扱いだった「リアプロジェクションテレビ」が株式市場でもにわかに注目を集めてきた。技術革新により、これまで普及の妨げとなっていた難点が相次いで解消される見通しとなってきたためだ。日本での本格普及の可能性はあるのか。

 リアプロジェクションテレビはスクリーンの後ろからプロジェクタを使って画像を映し出す方式のテレビのことで、背面投射型テレビと呼ばれている。本体の後部から映し出された映像に光を当て、レンズやミラーで拡大して投影するテレビだ。特に大型化することが簡単で、50インチ台が主流となっている。さらに、価格面においても、同じ薄型テレビのなかでは、液晶テレビやプラズマテレビに比べて割安であることも大きな特徴となっている。

 しかし、従来はCRT(ブラウン管)方式を使用していたことから、ほかの2つの方式に比べて画質が劣っていたことに加え、画面を大きくするためには投射距離が必要なため、本体の厚みが課題となっていた。したがって、米国や中国では比較的普及が進んだものの、テレビを設置する部屋の狭さやより鮮明な画質を求める気質などから、日本ではほとんど普及してこなかった。

 ところが最近になって、従来のCRT方式から高温ポリシリコン液晶パネルなどを光学素子として採用しているマイクロディスプレイ方式に移行してきたことで、画像の質が大幅に改善してきている。さらに、三菱電機では、投射レンズの配置と非球面ミラーの形状を見直すことで、投射距離を従来の50cmから20cmに短縮することに成功している。これにより、理論的には画面サイズが60〜70インチでの大きさでも、奥行きは20cm以下という、液晶やプラズマと遜色のないリアプロジェクションテレビが十分実現可能になってきている。

 今後当面のあいだデジタル家電の主力商品として君臨する薄型テレビの今後について外国証券のアナリストは「これまで、薄型テレビの主力は液晶とプラズマの2方式とみられてきた。しかし、プラズマは依然として製品重量がかなり重く、液晶にも、大きさの点で40インチ以上のサイズがかなり割高となり、明るさの点でもいまひとつという難点をもっている。こうした点ではかなり優れているリアプロジェクションの登場で、今後は消費者の望むサイズや価格帯でこの3種類がそれぞれ特徴を発揮して、すみ分けが進むことになりそうだ。目安としては、30〜40インチが液晶、40〜50インチがプラズマ、50インチ以上がリアプロジェクションということになりそうだ」としている。

 関連銘柄としては、リアプロジェクションテレビの製造を手掛けているセイコーエプソン、三菱電機、シャープ、ソニー、ビクターをはじめ、スクリーンを担当している凸版印刷、大日本印刷、有沢製作所。さらに、レンズのクラレ、タムロン、HOYA、キヤノン、光学機器のニコン、ジオマテック、ランプの岩崎電気、ウシオ電機、反射鏡の岡本硝子などに注目してみたい。

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