「google(ググる)」という動詞さえも生んでしまうほど、欧米では圧倒的な支持を得ているGoogle。日本では若干苦戦しているとも言われるが、それでも占有率が3割は占めているというからましな方だ。というのは、実は韓国ではさらに苦戦しているからだ。
Googleは世界で60〜70%の占有率を確保しているが、韓国内では5%程度の占有率しかない。NHNのNaver、Daum CommunicationsのDaumなど、韓国のポータルサイトが市場を占有しているためだ。
検索サイトだけではない。例えば1例としてワクチンソフトでも、日本ではSymantecやTrend Microが世界的な企業が39%、24%という占有率のデータがBCNランキングにはあるが、韓国ではアンラボが60〜70%の市場占有率を確保しており、SymantecやTrend Microはそれぞれ13%、5%台という微々たる占有率にとどまっている。つまり、韓国におけるインターネットのサービスや関連商品の市場は全体的に、外国企業よりも韓国企業が強いという傾向があるのだ。
ではなぜ韓国では外国企業が苦戦を強いられるだろうか。それについては様々な見方があるのだが、その1つとして韓国企業は自国のネティズンの嗜好を実によくとらえ、それに合わせた独自のサービスを多く提供していることが挙げられる。
例えば韓国で人気を集めているUCC(User Created Contents)にしてもそうだ。UCCとはユーザーが直接撮影・編集を行った動画などのコンテンツを指し、You Tubeのようなウェブサイトにこれをアップロードして楽しむという方法が流行している。
このUCCサービスにしても、韓国企業はひと手間加える。単にUCCをネティズンの好きなようにアップロードさせるのではなく、輪に加わって他の人と共有することを好むという韓国人の特性に合わせ、参加を促すようなしかけを作り、ユーザーをそこへ引き入れるのだ。
例えばDaumのニュースコーナー「Media Daum」には一般人による「ブロガー記者団」がおり、自身のブログにアップロードしたUCC記事をDaumのニュース枠と連動し大々的に見せることができる。これによりブログにたくさんの人が訪れコメントやトラックバックをつけたりして活性化するのと同時にニュース枠も充実する。同時に優れたニュースを提供したブロガーの記事はニュースカテゴリで大きく紹介し、賞金も授与して参加動機を存分に与える。
個人の好みに合わせてウェブサイトの配置を変えられるなど、企業が与えるばかりでなくネティズン主体でウェブを作りコンテンツを生成していく「Web2.0」。この代表的サービスとしてUCCは韓国でも注目度が高いのだが、UCCコンテンツは自分で作るが参加機会は企業側から与えられるという、半自主的なその特徴から専門家たちは、韓国のWeb2.0は韓国の特性を加味した「Web1.5」という分析をしている。
検索語を入力すれば、それに関する情報がカテゴリ別に網羅されて出てくるNaver独自の検索方法や、無料で電子メールアドレスを提供する「Daum Hanmail」などはいずれもインターネット草創期に提供が開始されたが、それらは当時の韓国市場に大きなインパクトを与え、それがそのままインターネットのトップブランドとして定着した。
韓国企業は、ネティズンの心の機微にずばり応えるような新しくユニークなサービスを提供する。それは世界的傾向と異なる場合もあるが、韓国ネティズンには的を射たサービスとなりうる。そこで絶大な信頼を得ると、次には市場を作り上げていく力をも持つようになる。韓国企業の力やそれに対するネティズンの信頼が、独特な韓国市場を作っているようだ。
ところで最近、Googleが韓国支社を設立するかどうか、という記事が韓国のマスコミを賑わせている。Googleの真意はどうあれ、もし支社を設立して本格進出すれば、韓国企業も現状に甘んじていられないことは確かで、業界ではある程度の緊張感を持って状況を見守っている。
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