10月16日から2日間、携帯電話向けOS最大手の英Symbianが、イベント「Symbian Smartphone Show」を開催した。Symbianは、フィンランドNokiaら携帯電話メーカー各社が集まって1998年に立ち上げた合弁会社。現在の株主は、47.9%の株式を所有するNokiaを筆頭に、スウェーデンEricsson、英Sony Ericsson、パナソニック、独Siemens、韓国Samsungの6社となる。出資企業以外に、韓LG電子ら合計8社がライセンシーだ。シェアは約7割で、NTTドコモのFOMA端末の多くで利用されている。
このところの携帯電話分野の大きな話題といえば、米Appleの「iPhone」参入だ。それもあってか、今年のSymbianには勢いがあった。それもそのはず、Symbian周りは大きく動いている。
10月15日、MotorolaとSony Ericssonは共同で、Sony Ericssonが所有するSymbian向けUI企業UIQ Technologyに、Motorolaが出資参加することを発表した。MotorolaはUIQの株式50%を取得する。Motorolaが2003年にSymbian出資から撤退していることを考えると、再びSymbian陣営に戻ることになる。Symbian向けUIはNokiaの「S60」が多くのシェアを持つが、UIQの力が強くなることは、Symbian陣営全体によい効果をもたらすだろう。
これ以外にも、このところSymbianから遠のいていた感のあるSamsungが17日、「Symbian OSにコミットする」と発表、今後Symbianベースの端末を積極的に投入していくという。MotorolaとSamsungの2社は、会場でも目立つブースを構えていた。
MotorolaのUIQへの資本参加は、対S60/Nokiaだけでなく、Appleの影響が強そうだ(UIQはタッチ技術を持つ)。NokiaとMotorolaは、世界で見るとシェア1位と2位だが、米国ではMotorolaがトップ。これまでのiPhoneブームは、この米国市場の話であることを考えると、iPhoneの打撃を最も受けているのはMotorolaといっていいだろう。実際、MotorolaのCEO、Ed Zander氏はiPhoneでのAppleのやり方に怒っているというし、AppleとMotorolaとはすでに、「iTunes」携帯電話で決裂した経緯もある。
Symbian株式を売却後、「スマートフォンはLinux」としてきたMotorolaだが、当時端末部門トップを務めていたRon Garriques氏もいまでは米Dellに移動してしまった。携帯電話業界の中心は、GSMを推進する業界団体GSM Associationや大手端末ベンダー、機器ベンダーのいる欧州が中心。欧州のモバイル業界はよく「米国は遅れている」と馬鹿にする(?)が、「RAZR」以来、大ヒット製品が出せないMotorolaにしてみれば、一匹狼でやるよりも、流儀が異なるのを我慢しながら欧州陣と組んだほうがよいと判断したのだろう。
そのAppleだが、10月16日、仏Orangeとフランス市場でiPhoneを提供することを発表した。発売日は11月29日。クリスマス商戦になんとか間に合った。
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