6月19日、Googleはフランス・パリでプレス向けイベント「Google Press Day」を開催した。Google Press DayはGoogleが毎年プレスを集めて開いているイベントで、米国以外で開催するのはこれが初めてという。Googleが会場に選んだのは、偶然か故意か、国立図書館旧館(*)のすぐ横にある小さなイベント会場。この日、奥まった会場には世界各国から約150人ものプレスが集まった。
Googleはここで、YouTubeの国際展開、エコロジーへの取り組みなどを発表し、パーソナライズや翻訳など検索分野の最新機能を披露した。
最大のニュースは、YouTubeの欧州上陸だろう。YouTubeは、欧州7カ国(フランス、スペイン、オランダ、英国、アイルランド、ポーランド、イタリア)、そして日本、ブラジルの9カ国でサービスを展開する。YouTubeスタッフは、ローカリゼーションでは単にサイトを現地の言語に翻訳するだけではなく、おすすめビデオなどでローカルコンテンツを充実させていくことを強調する。TV局やスポーツチームなど200社近くのコンテンツプロバイダと提携、フランスではフランス版CNNといわれるFrance 24も提携先として名を連ねている。日本でも有名なフランスの自転車ロードレースTour de France(ツール・ド・フランス)もYouTubeのブランドチャネルとして展開する。会期中、その日のハイライト動画をアップするようだ。
YouTubeは動画共有サイトの草分け的存在で、疑いなしの世界ナンバー1。大きなブランド力を持つ。だが、米国ではじまったサービスをそのまま欧州で展開しても、成功するとは限らない。日本でも、MySpaceよりミクシィを選ぶユーザーがいるのと同じだ。とくに、コミュニケーション要素が強いサービスやメディアでは、地元のテイストを正しく理解していることが必要だろう。動画共有サイトも同じかもしれない。YouTubeの細部に配慮したローカリゼーションはそれを考慮してのものだろう。
欧州ではフランスの DailyMotion、ドイツの Clipfishなどが立ち上がっているが、YouTubeはどこまで地元サイトのシェアを侵食できるだろうか。
ところで、YouTubeが紹介した欧州在住のカリスマ“YouTuber”をここでも紹介。ポーランドの4歳のドラマーIgor君、英国の79歳の geriatric1927さんなどを見ていると、世界にはいろんな人がいると改めて感心する。イタリアのfeles81さんのイタリア語対応を求めるメッセージも笑える。なお、英国政府は公式サイト10 Downing StreetをYouTubeで展開、元首相のTony Blair氏が熱いメッセージを送っている。
*2005年、フランスの国立図書館館長(当時)はGoogleの蔵書デジタル化計画「Google Library」に強い反対を示し、話題となった。この館長は新しく代わっており、Google CEOのEric Schmidt氏はこの日、新しい館長に挨拶に出向いたとのことだ。
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