史上最年少で上場したアドウェイズ社長の行動力:前編

構成:西田隆一(編集部)2006年07月13日 13時00分

 6月20日に上場時の社長の最年少記録が塗り替えられた。26歳2カ月という若さで、東証マザーズに上場したアドウェイズの岡村陽久氏によるものだ。同氏は中学校を卒業後、16歳から訪問販売の営業マンとして活躍した後に、20歳で起業したのだという。

 いまでこそ学生起業家も数多く生まれ、若くして起業する人も多いが、インターネットとは無縁だった営業マンが起業家となり、6年で上場するまでの道のりはなかなか想像しがたい。そこで、今回は岡村陽久氏に起業から上場までの軌跡を伺った。

小池:上場、おめでとうございます。

岡村:ありがとうございます。

小池:今日は、岡村さんの起業に至った経緯なども含めて、今までのことをお聞きしたいと思います。早速ですが、まず、最初に起業をしたいと思ったのはいつ頃ですか。

岡村:小学校ぐらいのときから社長になりたいなと思っていて、よく文集の「将来の夢」みたいなところは「社長」と書いていたんです。

小池:とにかく起業というよりも社長になりたいと。でも、最初は営業をやられていたんですよね。

岡村:そうです。

岡村陽久氏 岡村陽久(おかむら・はるひさ)-- 埼玉県出身。1996年に中学校を卒業後、同年10月に東京ダイシン入社。1998年1月に近畿設備に転職。2000年8月にアドウェイズエージェンシーを創業。2001年2月にアドウェイズを設立し、代表取締役に就任、現在にいたる。

小池:(アドウェイズは)前々から営業の会社というイメージがすごくあったんですが、最初はどんな仕事をされていたんですか。

岡村:起業するまでは2社で働きました。1社目は、ベランダとかベランダの上のテラス、駐車場の屋根、カーポートとか、そういうアルミ製品を飛び込みで一般家庭に売るという訪問販売を1年半ぐらいやっていました。2社目は、その会社を辞めて、今度は大阪で一般家庭にシステムキッチンのレンジフードという換気扇が汚れないように付けるフィルターを飛び込みで売るという会社でした。

小池:もともとの出身は大阪じゃないんですか?

岡村:出身は埼玉で、育ちは東京です。だから1社目は東京なんです。2社目からは大阪です。

小池:以前に話をお聞きしましたけど、中学を卒業してそのまま就職されたのでしたね?

岡村:1社目に就職したのは(中学を卒業した年の)10月です。

小池:とにかく、もう一刻でも早く経験をして社長になりたいというような思いだったんですか。

岡村:というよりも、まあ仕事をするしかないと思っていました。初めは営業の会社に入るつもりはなかったんですよ。

 それで仕事に就こうと思って、コンビニに行ってアルバイト情報誌を買ったら、高収入の上級とか中級とかいろいろ分類されていて、高収入の上級を見ていたら、何か工事部でやればやるほど報酬がもらえるみたいな求人広告があったんです。これはおもしろそうだなと思って行ったら、「工事部がもういっぱいになっちゃったから、君は営業にまわってくれる?」と言われました。結局、訪問販売の会社だったということなんですけど、それがきっかけです。

 だから、もともとは訪問販売というか営業職をやるつもりは全然なかったんです。

小池:営業職をやりたかったというよりは、たまたまなんですね。

岡村:営業って16歳の小僧ができる仕事だと思っていなかったんですよ。工事関係の仕事に応募したら、偶然営業にに回されたと言うことです。

小池:営業の仕事はうまくいきましたか。

岡村:1社目はけっこう年齢層が高い会社だったんです。たまたま僕だけが16歳と若かったこともあって、(商品を売りに行く)相手が奥さんですから、やっぱり16歳の小僧が売りに行くとちょっとウケるんですよね。それで、ちょっとずつ売れていって、結構売れるようになって楽しくもなってきて、という感じでした。

小池:大阪に行こうと思ったのはなぜですか。

岡村:その会社は100人ぐらいの小さい会社だったんですよ。ある程度売れるようにもなってきたんですが、この会社で売り上げ一番を取っても、もっと上があるはずだと思って、「営業の本場はどこの会社なんですか」と先輩に聞いたんです。そうしたら、「営業力を上げたいんだったら大阪に行ったほうがいい」と言われて、大阪に行ったんです。

小池:前の会社では営業で一番を取っていたんですか。

岡村:なんとか一番でした。

小池:なるほど。それで営業の本場、大阪に行って、そこでも一番を取ろうとしたんですね。で、どうでした? 一番が取れましたか?

岡村:次の会社は結構大きくて500人ぐらいの会社だったのですが、拠点は関西と関東があって、関西ではトップを取ったんですが、総合というか全国では2位が最高で、トップは取れませんでした。

小池:それでもたいしたものですね。奥さんが相手というのは、前の会社の話でしょう?

岡村:次の会社もフィルターの訪問販売なので、奥さんが相手でした。

小池:営業の秘訣はそれですか(笑)。今でも営業が強い会社ということで、岡村さんの営業の得意なところが生かされていますよね。その極意があるのかと思って。

岡村:実は僕は法人営業が苦手で(笑)。でも、うちの会社は法人営業ですよね。アポ取りはけっこう得意なんですが……。うちの場合は新卒採用をするに当たって合同セミナーをするんですが、何百社もブースがあるところで学生をつかまえるといったような、対個人の営業はかなり得意です。ですが、対法人は苦手ですね。

小池:なるほど。そこから会社を起業するに至ったのはどんな経緯ですか。

岡村陽久氏

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