ソニーバッテリーリコール問題で他国と違った中国メディアの反応

 ソニーのバッテリーリコール問題は国内で大きな話題となったが、中国のいくつかのメディアではこの問題について取り上げ、日本とは違う中国ならではの考察を行っている。

 中国国内で売られる中国製品は、値段が高ければ品質は悪くなく壊れにくいが、一方で値段が安ければ何回か使うだけで使い物にならなくなるほど品質が悪いものがごく普通に売られている。「結果的に儲かればそれでいい」という起業家は少なくなく、巨大な中国市場に粗悪な製品を流しては、名前を変え粗悪な製品を売り財をなす起業家は絶えない。一般的に消費者は聞いたこともないメーカーの製品を購入して初期不良であれば、購入店に訴えるのが唯一の方法と考える。

 そのような環境下の中国で、ソニーの桁違いのスケールのリコールに、いくつかの中国のIT系メディアは「ソニーに学び中国企業も問題があればリコールをしなければならない」とソニーの対処を絶賛した。中国メディアの多くはソニーが規模の巨大なバッテリーリコールを行ったため、いざというときもメーカーが誠心誠意対応してくれると捉えられ、消費者からの信頼を勝ち取ったとこの問題を紹介し、メディアによっては「(バッテリーの問題は意図的ではないものの)信頼を得るパフォーマンスを行うことに成功した」とも表現している。

 逆に中国の消費者を怒らせたIT企業のリコールも過去にある。1999年に東芝製ノートPCのフロッピーディスクのコントローラに不具合があり、このためデータ破壊に繋がるとして損害賠償を関する集団訴訟がアメリカで起き、その結果該当するPCの所有者に数百ドルのクーポン券が提供された。一方同モデルを購入した中国の所有者には、東芝側から金銭的な賠償はなく、ソフト1本をオンラインで無償提供するというものであったため、中国各地で訴訟沙汰となった。7年も前の話だが、ソニーのリコール記事を掲載する中国メディアは過去の悪例として引き合いに出している。

 中国での過去のリコールを振り返ると、レノボが2002年に同社ノートパソコンに問題があるかもしれないとして、無料点検後問題があれば修理の措置を行ったほかは、中国ITメーカー発のリコールは行われてはいない。中国メディアは「中国メーカーの製品の品質の問題が頻繁に起きていることを考えると、リコールが必要なときにリコールをしていなかった」とし、その原因はIT製品のリコールについての法がいまだにないためと指摘する。中国におけるリコール関連の法律は2004年に制定した車に関する法律「欠陥汽車産品召回管理規定(欠陥車製品リコール管理規定)」のみで、IT製品のリコールに関する法律はなく、早急に制定する必要があると中国メディアは訴える。

 日本など中国外メーカーは製品に問題があるとわかればリコールするし、修理も購入後一定期間は無償修理を行う。それを理由に中国メーカー製品購入をためらう消費者は少なくない。日本と同様のアフターサービスを中国でも提供することで、日本のメーカーは中国で品質、性能だけでなく、アフターケアという意味でも信頼できるメーカーと認識されるようだ。

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