バルミューダ、最終赤字20億円の中「軸足」の製品群入れ替え--「再成長に向けた地盤づくりに挑む」

 バルミューダは、2023年度通期(2023年1~12月)業績を発表。売上高は前年比26.1%減の130億1100万円、営業利益が前年実績の7500万円の黒字から、マイナス13億7500万円の赤字に転落。経常利益は前年度の1400万円から、マイナス12億3700万円の赤字となり、当期純利益は前年度の300万円から、マイナス20億7100万円の赤字となった。

2023年度業績サマリー 2023年度業績サマリー
※クリックすると拡大画像が見られます
  1. 「ReBaker」「GreenFan Studio」新製品を次々投入
  2. バルミューダは、トレンドよりも商品力が受け入れられるかが勝負

 一方、2024年度通期(2024年1~12月)の業績見通しは、売上高は前年比1.4%増の132億円、営業利益が1億5000万円と黒字転換を見込むほか、経常利益は1億5000万円、当期純利益は1億円と黒字転換を目指す。

 携帯端末事業からの撤退、急激な円安の影響、コロナ禍での巣ごもり需要の反動などによって厳しい1年が続いたバルミューダだが、今回の決算発表では、反転攻勢の狼煙(のろし)をあげる姿勢が示された。

 バルミューダ 代表取締役社長の寺尾玄氏は、「2023年度は非常に苦しい1年だった。円安、コロナの影響、戦略の見直しによって、収支バランスが取れていない状況だった」と、2023年度の業績を総括。その一方で、「2024年度は、強い緊張感と勤勉さが必要なタフな1年になるだろう」としながら、「2024年度は、なにがなんでも、通期での黒字回復を達成する。そのための施策を打っていく。円安は膠着していくと予測しているが、そうした為替水準でも成長可能な事業基盤を確立していく。2023年後半からさまざまな施策を実施済みであり、2024年度は追加施策を打つとともに、これまで打ってきた施策の効果を通年で反映できる。これにより、2024年度は、確度をつけて次の年を迎えることにつなげたい」と、再成長に向けた地盤づくりに挑む姿勢を示した。

バルミューダ 代表取締役社長の寺尾玄氏
バルミューダ 代表取締役社長の寺尾玄氏

「ReBaker」「GreenFan Studio」新製品を次々投入

 すでに、2023年度第4四半期(2023年10~12月)でも回復傾向が出ている。

 同四半期における国内家電カテゴリーの販売実績は32億8600万円となり、四半期実績では過去最高を記録しているからだ。

 また、2023年度後半から取り組んでいる「売上総利益率の改善」「固定費の圧縮」「家電カテゴリーの積極的な展開」の3点においても成果が生まれている。

 2023年度の売上総利益率は、前年度の31.1%から26.9%に悪化。なかでも第4四半期は22.1%とさらに悪化しているが、「在庫の評価減などを行っているため、数字上の見掛けは悪いが、仕入れと販売のバランスという点では良化している」と説明。リニューアルした製品や、新たに発売した製品は売上総利益率が改善していることを強調した。

2023年度第4四半期業績サマリー 2023年度第4四半期業績サマリー
※クリックすると拡大画像が見られます

 新たな製品として、2月には、買ってきたパンや冷めてしまった揚げものなどを温め直す「ReBaker」を発表。さらに、新たな扇風機として「GreenFan Studio」を3月19日には投入することを発表。これらの製品も「昨今の事業環境にあわせた価格構造のもと、設計したものである。利益の伸長に貢献する製品である」と述べた。

「ReBaker」 「ReBaker」
※クリックすると拡大画像が見られます
「GreenFan Studio」 「GreenFan Studio」
※クリックすると拡大画像が見られます

 2024年度の売上総利益率は31.8%の見通しとしており、4.9ポイントの改善を目指す。これにより、年間で6億9600万円の営業利益の改善効果が見込めるという。

 固定費の圧縮では、携帯端末事業の終息にあわせて人員を最適化。第4四半期には前年同期比で8500万円の人件費を削減。2024年度はこれを踏まえた年間人件費を想定しているという。

 「2024年3月末時点での社員数は約140人となり、2022年末の213人と比較すると約3分の2になる。事業環境や置かれた立場、しなければならないことに合わせて人員を最適化した」という。

 また、販管費比率は前年度の30.6%から37.5%となったが、2024年度には30.7%への改善を目指す。

バルミューダは、トレンドよりも商品力が受け入れられるかが勝負

 家電カテゴリーの積極的な展開では、2023年度第3四半期までの施策として、「BALMUDA The Light」の生産拠点の移管、主力製品のひとつである「BALMUDA The Range」のリニューアルを通じて、原価および販売価格の適正化や、品質の向上を実現したほか、中国や韓国、北米、台湾市場において製品ラインアップの拡充を実施した。また、第4四半期には、主力製品である「BALMUDA The Toaster」および同Proのリニューアルに加えて、「BALMUDA The Plate Pro」を投入して、累計販売台数が2万台を突破。タイやシンガポール、マレーシアにおけるブランド展開を開始したほか、韓国でもProシリーズの販売を開始したことを示した。

「BALMUDA The Plate Pro」 「BALMUDA The Plate Pro」
※クリックすると拡大画像が見られます

 寺尾社長は、「2024年に入ってから、すでに新製品を発表しているが、2024年春も新たなラインアップの製品群を投入する。下期にも複数の新製品の発表を予定している。新たな価格構造を持った製品群に入れ替えることで、売上総利益率の改善とともに、売上高の伸長にもつなげたい」と述べた。

 2024年度の製品カテゴリー別の売上高見通しは、空調関連が前年比6.4%減の22億8700万円、キッチン関連が9.4%増の101億5300万円、その他(クリーナー、スピーカー、照明など)が41.0%減の7億5900万円とした。

 また、地域別売上高見通しは、日本が前年比1.8%減の86億4700万円、韓国は3.0%減の22億5900万円、北米が6.7%増の6億7400万円、その他が30.2%増の16億1900万円としている。2024年度は、7つの国と地域で、製品ラインアップを拡大する計画も明らかにしている。

 同社では、家電製品の需要が集中する第2四半期および第4四半期での黒字化を想定しており、それにより、通期黒字化を目指す。

 「バルミューダが得意とする小型生活家電は、市場全体で販売台数、金額ともに下がっているが、2024年は2023年の落ち込みからは、少し復活するだろう。ただ、バルミューダの場合には、トレンドというよりも、自分たちの商品力が、お客様と合意できるか、提案がどれだけ受け入れられるかが勝負どころである。より多くの人たちと、私たちが考えた価値を共有したい。新たな提案によって、事業基盤の確立を図りたい」とした。

 一方、小型風力発電機については、JAXAの風洞施設での実験などを進めており、将来の普及に向けた取り組みを継続していることも報告した。

バルミューダ
2023年12月期決算説明会資料

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]