家具サブスクのクラス、総額19.4億円の資金調達--持続可能な成長で事業展開加速、新サービスも

 家具と家電のサブスクリプションサービス「CLAS」(クラス)を運営するクラスが、耐久消費財の循環型エコステム構築に向け、事業を加速させる。1月24日には、パーソルベンチャーパートナーズ、ANRI、千島土地、京信ソーシャルキャピタル他1社を引受先とした第三者割当増資などにより、総額約19.4億円の資金調達を実施。EC事業、法人事業の成長により、売上規模100億円を目指す考えだ。

 2018年のサービス開始から一貫して「所有しない利用」を促進し、持続可能な循環型社会の実現を目指しているクラス。今後の事業展開について、クラスで代表取締役社長を務める久保裕丈氏に話を聞いた。

クラス 代表取締役社長 久保裕丈氏
クラス 代表取締役社長 久保裕丈氏

――サービスを開始された2018年からこれまでを振り返ってみて、「CLAS」を取り巻く環境はどのように変化したと思いますか。

 2018年から変化したと思う点は、大きく分けて2つあります。1つは、ユーザー側の観点です。サービス開始当初は、家具などの耐久消費財を所有せずに利用しようと考えるのは情報感度の高い一部の方に限られていました。しかし最近は、自動車税、自動車保険、車検、メンテナンスなどの諸費用が月々の利用料金に含まれている、車のサブスクリプションサービスなども生まれています。大きくて重くて取り扱いが面倒な耐久消費財を、所有せずに利用するというマインドが徐々に浸透してきたように思います。

 もう1つは、メーカー側の観点です。資材をリサイクル、再利用することなく廃棄してしまうリニアエコノミーではなく、循環型のビジネスをしていこうという意識に変わってきているのを感じます。大手家電メーカーや小売企業から相談を受ける機会も増えました。各企業の、環境問題に対する本気度は上がってきていると思います。

 一方、ライフステージに合わせて耐久消費財を利用していただくというCLASの基本的な思想や設計は、サービス開始当初から大きくは変わっていません。2~3年ごとに家具などを借り換えることによって、自分にとって最適なものを追求したいというニーズは常にあるものだと考えています。

――今回の資金調達にあたって、EC事業はどのように加速させていくのでしょうか。

 取扱商品を拡充していきます。これまで我々は、メーカーから新品を仕入れ、それを商品のラインアップに加えていました。しかし、メーカーの方からご相談をいただく中には、「非常に状態のいい中古品」などもあるんです。とても状態のいい中古品を抱えていて、ただ自社だとその出口がない。結果、そういった中古品がこれまで大量に廃棄されていたんです。今後は新たに、こういった中古品も商品として取り扱っていきたいと考えています。

 しかしこういった商品をラインアップに加えるとなると、中古品を整備し、新品に準じる状態に仕上げるリペア・クリーニングの工程をさらに強化しなくてはなりません。加えて、商品のバリエーションが増えることによって、物流であったり、倉庫内のインフラであったり、投資しなくてはならない部分がいろいろと出てきます。今回調達した資金は、これらのインフラ投資に充てていくつもりです。

 我々のインフラやオペレーション上の問題で、まだ取り扱いが難しい商品はたくさんあります。エアコンなどの空調家電、電動自転車などのモビリティなどがそうです。ただ、ニーズがあってお客様が求めているものであれば、適切なタイミングでどんどんラインアップに加えていきたいですし、そのためのインフラも強化していきたいと考えています。

――法人事業は、今後どのように展開していくのでしょうか。

 法人事業では、目指していきたい方向性が2つあります。1つは、メーカーや小売企業の方々に循環型事業に参入していただき、我々のインフラを使ってもらうことです。ECサイトの構築からその運営までをすべて請け負っているフルフィルメントサービス、その循環型事業版の展開を考えています。

 もう1つは、国内の住宅領域におけるさらなるレンタルニーズの掘り起こしです。現在、国内の大手不動産やデベロッパーのモデルルーム、マンスリーマンションなどで、CLASが提供している家具を多くご活用いただいています。万博に向けて、関西圏の貸し別荘やサービスアパートメントなどでCLASの家具をご利用いただく機会も増えてきました。さまざまな事業形態に合わせて、「所有しない利用」をさらに世の中に広めていきたいと思っています。


 加えて2月から、スタートアップ向けのオフィス構築支援サービスを提供開始する予定です。どういった働き方を志向するべきなのか、どういった人事設計をするべきなのか、それに合わせてどういったオフィスを作っていくべきなのか、各企業に合わせて働き方設計のコンサルティングを行い、我々のサービスの特徴である可変性を活かしながら、そのときどきでいちばんいいオフィスのあり方を提案していく。そんなサービスを新しく展開していく予定です。

――持続可能な成長「サステナブル・グロース」で事業展開を加速させるクラスとして、今後どのような未来を実現したいと考えていますか。

 自由で軽やかな働き方や暮らし方を実現することは、個人にとっても企業にとっても、生産性と幸福度を上げることだと我々は考えています。さらに、循環型ビジネスを展開することによって、温室効果ガスの排出量を減らし環境問題にも貢献していきたい。

 クラスの事業を通して、我々はそんな未来を実現していくつもりです。

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