パナソニックCTOが話す「ConnectGPT」の使い方--次世代太陽電池には得意技術を活用 - (page 2)

車載、太陽電池のフォーカスしていくべき方向性

 車載電池では、世界初となるコバルトの含有量5%以下を実現。さらに、ニッケルレスに向けた技術開発によって、レアアースへの対応を進めていることを示し、「部材の価格高騰への対応のほか、より入手しやすく、サプライチェーンでも問題になりにくい材料にシフトしたい」と語った。

 一方で、「リン酸鉄系リチウムイオン電池は、安全度は高いが、車載用としては容量が少ないとされてきた。だが、中国市場を見ると、近隣だけを走るEVに活用できるという学びがある。また、ナトリウムイオン電池は低価格化のポテンシャルはあるが、容量では課題があり、用途が限定される。パナソニックグループでは、EVのお客様から求められる高容量にフォーカスして事業を進めていくことになる」と語った。

パナソニックグループの車載電池
パナソニックグループの車載電池

 さらに、「ディスプレイパネルのような民生向けデバイスは、シェアを獲得して、コストを引き下げることが重要になるが、車載電池は、お客様とすり合わせて生産するなかで、一定の生産規模に達していれば競争力を維持できると考えている」とした。
 また、「円筒形電池は、制御、冷却、安全性において、角型電池よりもポテンシャルがあることについては、年々自信を深めている」とも述べた。

 その一方で、全固体電池については、パナソニック エナジーに加えて、パナソニックホールディングスでも一定のリソースを投下。トヨタ自動車との協業を含めてEV向けなどに提供することを目指している。「高出力のエネルギーを、素早く、安全に出し入れできるのが特徴である。EVへの供給が1丁目1番地となるが、パナソニックグルーフが取り扱っている小さな機器でも特性が生かせる領域があると考えている。事業会社から全固体電池を活用した応用商品が出てくることになるだろう」とした。

 滋賀県草津市の草津工場に設置した「H2 KIBOU FIELD」では、太陽光や水素エネルギーなどを活用した「RE100 ソリューション」を展開しているが、「この省エネソリューションは、自社の工場でトライアルしているものだが、すでに外部からの引き合いがある。外販の段階に入ってきている」と語った。

 そのほか、サステナビリティの観点では、エネルギー源を電気に変えることができるAir to Water(A2W)や、照明の省エネ制御技術、業務用空調製品などで、CO2削減貢献量が大きいとしたのに加えて、エネルギーマネジメントを行う分散型電源管理システムの「DERMS」もCO2排出量削減に貢献する技術として、研究開発投資を継続的に進める考えを示した。

 また、ペロブスカイト太陽電池の取り組みにも言及。「30cm×30cmでは世界最高の効率を実現しており、小さい面積での効率を追求している。だが、その一方で、大きな面積全体で効率を維持することは難しい要素があり、そこにも取り組んでいるところだ。ペロブスカイト太陽電池は、曲がることや軽量であることが特徴であり、従来のシリコン太陽電池では設置できないようなビルの壁などへの設置ができる。数年以内に商品化したいと考えているが、その際には、ペロブスカイト太陽電池の特性そのものよりも、しっかりと封止ができ、配線の引き出し構造が明確で、建材としての施工性やメンテナンス性の高さも重要になる。ここが勝負する部分である。パナソニックグループには、有機ELの開発で培ってきた、均一に膜を塗布できる高精細なインクジェット技術がある。これも差別化技術になる」と述べた。

CES 2023のパナソニックブースでは、982枚のペロブスカイト太陽セルで構成された木が展示された
CES 2023のパナソニックブースでは、982枚のペロブスカイト太陽セルで構成された木が展示された

 なお、次世代パワー半導体のSiCおよびGaNについては、「SiCの研究開発投資は行っていないが、GaNについては縦型デバイスの実用化に必須となる電気抵抗が低く、結晶品質が高いGaN単結晶ウェア製造技術を実現した。国プロのなかでウェアの6インチ化なども進めている。パワー半導体そのものを作る事業はやらないが、生産装置やICを組み込んだモジュールを商品化する可能性はあるだろう」と述べた。

 さらに、NTTが推進しているIOWN構想については、「条件が合意に至らなかったため、現時点ではIOWN Global Forumに加盟していない。しかし、加盟することを検討している段階にあり、IOWNの普及に貢献していきたい」と語った。

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