若者たちはSNS、特にInstagramを恋愛に使っているようだ。どのように使っているのか、実態と使い方について見ていきたい。
SHIBUYA109lab.の「Z世代の恋愛・結婚感に関する意識調査」(2023年1月)によると、恋愛対象になる相手と出会ったり、出会いに使ったりしたことのある場所やツールは、「学校・サークル」が47.5%、「Instagram」が19.8%、「アルバイト・インターン先」が11.5%、「趣味・習い事」が10.8%などとなった。
何と2割がInstagramで出会っているのだ。高校生にいたっては、24.5%と4人に1人がInstagramと回答している。若者に人気の他のSNSを見ると、「Twitter」は9.3%、「TikTok」は3.3%となり、Instagramが際立って高いことがわかる。出会うためのアプリである「マッチングアプリ」は3.5%にとどまっている。
若者において、LINEは大人にとっての電話番号やメールのようなものだ。Twitterは「#春から○○大」などのハッシュタグでゆるくつながったり、広く情報を得たりするためのもの。
一方Instagramは、若者においてメインのコミュニケーションツールとなっていることが多い。Twitterで仲良くなった人とは、鍵をかけたInstagramで交流する。特に人気の機能はストーリーズとDMであり、そこから関係が広がったり、親しくなったりという話も聞く。
「気になる人の趣味を投稿から調べて、サッカー好きとわかったから、自分でもサッカー好きっぽい投稿したことがある。投稿に対してその人がリアクションしてくれて、『やった!』と思った」とある女子大学生に聞いた。「共通の友だちがいることがわかったら、『その子も入れて一緒に遊ぼうよ』とDMしたり」
このように若者たちは、SNSで相手の「趣味・好きなこと」(48.3%)、「交友関係・共通の知り合い」(28.5%)、「日常生活(日課・よく行く場所)」(28.3%)をチェックする。趣味を知ったり交友関係を把握して、相手をよりよく知ったり、話しかけるきっかけとしているのだ。
好きな人へのアプローチは、「積極的に話しかける」が37.0%で最多だが、「LINEでのやりとり(個人チャット)」(27.5%)、「InstagramでDMを送る」(27.0%)、「Instagramの投稿に反応する」(22.5%)、「Instagramで『親しい友達』に入れる」(17.3%)、「Instagramで『一言』をやる」(10.0%)など、Instagramでからむことも多い。
「Instagramで一言」とは、ストーリーズでアンケートを取り、回答してくれた人に対して「一言」メッセージを返信できるというものだ。回答者をスクショして一言を添えて投稿する。関心を持ってくれている相手であればリアクションが期待でき、自然にDMなどのやり取りにつなげられるというわけだ。
既に友だちとなっている相手と親しくなる以外に、共通の友人のInstagramのコメント欄などを経由して知り合うこともある。Instagramでなら、マッチングアプリなどと違い、共通の知り合いがいる上、相手の人柄なども口コミで得やすく、安心感があるようだ。
一方で、SNSでアプローチすることで「好きバレ」(相手に自分が好意があることがバレること)は避けたい気持ちもあるようだ。「SNS上に残したくないので直接話す」という声もある。交際後は、約3割が恋人とのデートの様子をストーリーズやフィードに投稿することに抵抗がない。ただしアカウントに鍵をかける、24時間で消えるストーリーズに投稿するなどの工夫をしているようだ。
相手に脈アリかどうかを見るのも、Instagramだという。まずは鍵垢のInstagramをフォローし合うことから始まる。複数のアカウントを持っている場合は、メインアカウントだけか、サブアカウントからもフォローあるかなどもポイントだという。
「Instagramで『親しい友達』に入れられているかどうかは大きい。自分が知らないことを別の友だちが知っていて、入れられていないことがわかることがある。わかったらもうムリだから諦める」と前述の女子大生はいう。
「ストーリーズに『いいね』とかきたらめちゃくちゃ嬉しい。相手の最終ログイン時間を見て、オンライン中を狙って投稿することもある。オンライン中なのに何もないと本当にへこむ。リアクションだけで終わってDMにつながらなくても落ち込んだり」
Instagramでは、過去にダイレクトメッセージのやり取りをした相手に対して、ログイン状況を知らせる機能がある。ログイン状況はDMのユーザー一覧で確認でき、オンライン中の場合は相手のところに緑色のマークがつく。または「○分前にオンライン」「○時間前にオンライン」などと表示されているので、相手からすぐに返信がきそうかどうかがわかるのだ。なお、これは非公開にすることも可能だ。
「好きな人がオンラインかどうかはいつも見ちゃう。『今なら見てもらえるかも』『すぐに返事がくるかも』とか思うから」
Instagramは、今どきの若者の交流関係に深く入り込んでいる。若者がInstagramを気にして頻繁に使うのには、このような理由もあるのだ。
高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。
公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/
Twitter:@akiakatsuki
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