”ねむりのDXカンパニー”をめざすNTT PARAVITAは、従業員の睡眠改善をまるごと請け負う健康経営サービス「ねむりの応援団」を3月17日の「世界睡眠デー」にあわせて提供を開始した。世界睡眠デーは世界睡眠学会(World Sleep Society)が毎年3月の第3金曜日と定める、睡眠に関する正しい知識を啓蒙・啓発する日だ。
健康維持やパフォーマンス向上には睡眠の質と量を確保することが不可欠だが、個人の努力だけでは改善が難しいことから、セミナーや相談窓口の設置、専門家によるサポートで行動変容をうながし、結果を出すことにつなげる。
NTT PARAVITAは、ICTを活用して地域の抱える社会課題の解決に取り組むNTT西日本と、医療・介護ベッド及びマット型睡眠センサーで国内トップシェアを誇るパラマウントベッドによる合弁企業として2021年に設立された。“世界一眠らない”と言われる日本人の睡眠改善に取り組み、未病ケア社会作りに貢献することを目指す。
発表会に出席したNTT PARAVITA 代表取締役社長の中野康司氏は「ターゲットは大きく2つある。勤労世代には健康経営企業、地域の高齢者には自治体・介護事業者を通じて、それぞれのニーズにあわせた睡眠改善サービスを提供する。睡眠データや実証データをもとにAIを用いた睡眠改善プログラムを開発し、保健師や看護師、栄養管理士、睡眠改善インストラクターの資格を持つ睡眠改善チームが、個々の問題にあわせたサポートを適切に行うことで結果を出してきた」と話す。
ねむりの応援団は企業を対象としたサービスで、以下の3つをオールインワンパッケージとして提供する。
これまで企業が健康診断以外で従業員の健康促進をサポートする方法としては、運動や食を通じたものが主流だったが、社会の変化や遅くまでスマホを使うといった生活習慣が変化し、睡眠の影響が大きくなっていることから改善サービスに着目したという。睡眠改善サービスは個人向けでは多数あるが、いずれもハイリスクな睡眠問題に対するものだ。そこで健康診断のように従業員全体へ提供しやすい方法を設定した。
料金には相談窓口、オンラインによる年4回のセミナーと睡眠チェック、睡眠習慣をより詳細に把握する睡眠レポートと、従業員に伴走しながら行動変容を促す睡眠サポートは、それぞれ年5回分まで含まれており、必要に応じてオプションとして追加できる。また、実施した施策を分析、評価したサマリーレポートも提供される。
料金は1人あたり月額480円(税込528円)で100人から受け付ける。マーケティング部の猪原祥博氏は「睡眠改善プログラムは全員ではなく、企業と相談して改善が必要だと判断した従業員だけに提供することで価格を抑え、年間約50万円という手軽な価格設定により、サービスの認知と継続を狙う」と説明する。
スクリーニングは、睡眠状態の自己評価を目的にWHOが作成した「アテネ不眠尺度」を使用する。改善が必要な従業員には、パラマウントベッド製のスリープテック機器「Active Sleep Analyzer」を使用して、心拍数、呼吸数、体動のデータをクラウドに収集し、それをもとに現在16名所属する専属スタッフが約2カ月かけて個別サポートを行う。
ポイントは従業員のプライパシーを守るため、サポートを行う対象を企業が判断するのではなく、あらかじめ相談によって決めた指標に沿って従業員に直接連絡して実施される。企業は全体でどれだけ改善できたかをサマリーレポートで確認でき、実際に生産性が向上していれば効果があったと判断できる。
年間の売上げ目標は1社あたり100万円で200社を想定している。従業員のプライベートにも関わる睡眠改善に企業がどこまで関与できるかはまだ未知数なところもあるが、テスト期間に導入した数十社では成果が出ており、自信を持ってサービス開始に臨んでいることが伺えた。
スマートウォッチなどとの連携や、既存のヘルスケアソフトのAPIを活用するといったことも検討しているが、まずは企業に睡眠の重要性を認知してもらうところに力を入れる。「睡眠に対する知識や情報は不足していたが、睡眠の質を判断する標準的な指標づくりに業界全体で取り組もうという動きもあり、関心は高まっている。企業も従業員のプライベートまで関与しないという考えから、社員が望むならサポートするという方向へ向かっており、ニーズはこれからだと考えている」(猪原氏)
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